第14話 プレゼント
程よく酒が回り、料理もほぼ食べ終わった。どれも最高に美味しかった。
家のドアが乱暴に叩かれる。
一瞬恐れおののいたものの、ドアスコープから見ると当時のホームレス仲間の
「メリークリスマスイブー!クリスマスプレゼント持ってきたぞぉ」
鹿毛さんは軽トラから冷蔵庫と洗濯機をおろした。
「よくあったね。助かるよ」
「いいんだもう今年は働かないし、時間はたくさんある。えっとこちらの女性は?」
「あ、まどか、です」
「かわいいねえ。通りで立石っちゃん最近仕事頑張ってるもんなぁ」
「鹿毛さんあんまり見たら金取るよ」
くわばらくわばら、と言い鹿毛さんは帰っていった。
「元輝くんのお友達だよね」まどかは少し照れくさそうに軽く身をよじった。
「友達、かな?良くはしてくれるけどね」
「でも、嬉しい」と耳まで赤くしている。
その夜にまどかがくっついてきた。
「ちょっと待ってまどかちゃん。こういうのって急ぐと良くないし」
「待たないもん。今日寒いし、二人なら寒くないし」
「まいったな」布団の端に身体を寄せ、ほとんど布団から落ちている。
「あのさ、俺に何か世話になってるとか全く考えなくていいからね」
「確かに恩返しはしたいけど…わかった」
しばらく無言が続いた。
自分の心臓の鼓動だけが大きく聞こえる。
「私ね、旦那から毎日殴られても逃げたりとかしなかったの」
ん、と返事をした。
「逃げるっていうことがまず頭になくて」
いてもたってもいられずまどかをに抱きしめた。
細くてまるですぐに壊れる人形のようだ。
「大丈夫」他に適切な言葉が見つからない。
抱き合って眠りについた。
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