第11話 買い物

仕事には行かずに、まどかを外に連れ出してみた。

家に来るかもしれないが、その時にまどかが家にいなければいいのだ。

始めは背中に隠れていたがすぐに慣れたようだ。


ホームレス達がどこから拾ってきたのかというゴミを売っていた。

「必要な物買うのに100均行かない?」と誘った。

まどかは黙って頷いた。


「足りない物って、いっぱいあるよ」すぐ後ろを歩いて静かに笑う。

100円均一では二人とも両手に色々な物を持って会計した。

まどかはキッチングッズを欲しがった。

近いうちに何か作ってくれるらしい。

二人とも袋をたくさん持ち、帰りにインドカレー屋に行った。

このまま外食が増えると生活ができないので、作ってくれるのは助かる。

顔より大きなナンがきて笑い合った。


帰りはスーパーに寄って食べ物を買った。

米から始まり、卵やウインナーやキャベツや肉を籠にほおっていく。

両手いっぱいに荷物を抱え、夕方には家に帰り着いた。


家の玄関の前に鳩の死骸が置いてあった。それにドアを何回も蹴った跡がある。

まどかは怯え切ってしまった。すぐに警察を呼んだ。

警察がきて、現場検証を行う。

まどかを家に入れて休ませる。

「心当たりはありますか?」と聞かれ、まどかの旦那の話をした。

これだけでは警察は動けないそうで、家の周りの警備を厳重に行ってもらうことになった。


警察が帰り家に入るとまどかが台所で立ちすくんでいる。

「大丈夫だからね」と言うと胸に飛び込んできた。

小刻みに震えている。まどかを助けることは俺しかできない。

かわいそうに、泣いている。こんな目に合わせる旦那が憎い。

「昼誰が来てもドア開けちゃ駄目だよ」と伝えて落ち着かせたら、まどかが台所に立った。

野菜炒めと肉団子の入った味噌汁、白米が運ばれてきた。

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