第6話 元輝の家

「今日は泊まっていく?なら俺端で寝るから」

「でも迷惑かけたらいけないし…」

「俺は寂しがり屋だから大丈夫」

本当は一人が好きだが嘘をついた。


毛布に少しだけ足だけ入れさせてもらい眠りにつく。

まどかは毛布から少しだけ手を出して俺の手を握った。俺は胸が高鳴ってよく眠れなかった。


まどかは安心して熟睡している。

寒いが手は温かい。気が付くと寝ていた。


「元輝君、ごめん、顔洗いたいんだけど…」 

驚いて飛び起きた。「あ、ごめんね!顔、公園で洗ってるんだけど行く?」

まどかは頷いて、一緒に公園へ行く。

まどかはいつもノーメイクで、化粧を施すと映えそうだ。


昨日より口元が紫色に腫れている。

「痛いよね、大丈夫?」

「うん、もう大丈夫。帰ろうかな…」

「大丈夫?俺は働きに行くけどゆっくりしててもいいよ」

「うん…ちょっとだけ考えさせてもらおうかな」


もう朝の8時だ。職業安定所に行っても仕事はないだろうと思いつつ向かう。

一つだけ仕事が残っていた。

給料の安い砂利運びという過酷な仕事だがまどかがいると思うとやる気が出た。


仕事が終わり足も手も腰も痛い。もしかしたらまどかは家に帰ったかもしれない。

ラインで確認してもいいのだが、家に帰っていて旦那がいたら連絡をするのはまずいだろう。


テントに戻るとまどかが座っていた。

「あ、帰ったかと思ってた」

「やっぱり邪魔かな」

「違う違う、銭湯行くけど行く?」

「うん、行く」

壺の中から金を取り出し共に銭湯へ向かう。

何か新婚のようで気恥ずかしい。

無言で歩く。恐らく二人とも同じ事を考えているだろう。


いつ、戻るのか。

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