第4話 助け
まどかの事を考えると胸のあたりが温かい。
冬で身体は寒いはずだが、ゆっくりと眠りにつくことができた。
それから毎日まどかの事を考えて仕事を頑張った。
夕方にまどかと公園で逢い、他愛ない会話をした。
まどかは23歳で既婚者だ。
しかし旦那からDVを受けていると悲し気に笑う。
目元にあざをつけて来る日もあった。
いつしかまどかに恋をしているのではないかと思い出した。
しかしまどかに何もしてやれない。助けたいが金もない。
無力な自分を責めてしまう。
朝の5時に職業安定所に並んでいい仕事を探した。
無駄遣いはせずに日に平均で5000円は稼いだ。
しかし汚らしい姿を見せたくないので銭湯には通った。
家賃はかからない、食事も炊き出しのみにし金を貯めた。
半年が過ぎた頃にスマートフォンを買いまどかと連絡先を交換した。
「何かあったらすぐに連絡して」
「ありがとう」とまどかは自分のスマートフォンを胸の辺りで握りしめて喜ぶ。
そんな姿も小動物のようで可愛らしく見えた。
あと半年くらいすれば家も借りれるのではないか。
家を借りたら俺はどうしたいのだろう。
まどかを匿いたいのか。やましい気持ちはない。
一人では日当5000円で生活できるが二人だと厳しいだろう。
ふとそんな事を考えながら煙草をふかした。
煙草の燻る煙とため息が混じり合い夜空に消えていく。
夜中にスマートフォンが鳴った。
まどかからラインで「元輝くん助けて」ときた。
「今どこ?すぐに行くから」俺はすぐに上着を羽織り外に飛び出た。
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