第41話 死装束

 日本国内において、警察組織が取り扱う各種事件や事故等は、複雑多岐にわたる。


 特に近年の傾向としては、各都道府県においても、科学捜査では解明できない魔宮事件が多発し、統計処理上は『神隠し』として処理せざるを得ない、そんな状況が続いている。


 異世界存在による人間消失事件と推察される魔宮事件は、帝都東京が国内再多発地域であり、中でも事件が激発する昭島市は『魔界都市』と呼ばれ、諸外国から来日する命知らずの観光客も多数集めるほどだ。


 魔界都市における最大の魔界域は、国道と都道が妖しく交わる『魔宮沢交差点』であり、護身知識を持たず魔界域侵入者の殆どは、翌日の朝日を見ることなく人生を終えている。


 科学捜査さえ敵わぬ魔宮事件といえど、国家・警察組織としては放置することはできず、昭島署に奉職する署員の制服・私服の下には、死装束ともいえる純白のシャツに、魔除けの呪文等をしたためたものを着込み、日々の取締りに当たっている。

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