第37話 真っ白な床
真っ白な床を赤黒く汚していたドロリとした液体が、皓(しろ)の呪文のような甘い囁きで、まるで霧のように霧散した。
閉じた瞳をやさしく開けた時には、突然消えたヤンチャなお兄さんたちが来店した以前の状態に戻っていた。
「余計なことしなければ、少しは長生き出来たかもしれないのに、本当におバカさんたちね」
10人の若者たちが、どのようにして消えてしまったのかは、確認できなかったが、何かの方法で消えてしまったことに変わりはない。
その頃レジ前では、魄(たま)が相変わらず可愛い唇を尖らせて、まだ独り言をつぶやいていた。
こちらも汚れた床は、いつの間にかすっかりキレイに片付けられて、真っ白に光り輝いている。
黒のポロシャツの胸に付いた何かの体液が、まだ気になるようだ。まぁるく膨らんだ先を細い指先で突付く。
「呪文で消したから、汚い体液もキレイに消えたよね。ホントに大丈夫かな。このポロ気に入ってるんだから」
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