第28話 涅(くろ)と皓(しろ)

 突然トイレのドアを開けられた涅(くろ)、


 「お客さん、今清掃中です。看板出ていませんでしたか?」


 「知らねえよ。オレは小便してぇんだよ。どけや、小便ぶっかけられてえのか」


 「行儀が悪い客だな。ちゃんとルールも守れないのか」


 「なんだと、このガキッ」


 狂犬のような顔が怒りに歪み、つり上がった目が血走った·······


 一方、ブックスタンドの方は、


 週刊誌を整理していた皓(しろ)を見かけ、仲間を呼んだ1人に、呼び寄せられた3人の計4人。


 「おう来たか、どうよこの姉ちゃん、めちゃイケてねぇか?」


 黒のポロシャツにベージュのミニスカ、それがこの店の制服である。もちろん男性の涅(くろ)はベージュのパンツであるが。


 周りを取り囲む4人のガラが悪そうなお兄ちゃんたちを、まるで無視して整理を続ける皓(しろ)に、ビビってると勘違いしたのか1人がからかう。


 「おい姉ちゃん大丈夫だよ。とって食おうって訳じゃねぇから。オレたちゃ、こう見えても真面目なお兄さん達だから」

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