第22話 記憶に残らない
魔宮沢交差点にあるコンビニ。国道16号にと続く、都道29号に接する広い駐車所があるため、車による利用客は多い。
バイヤーの趣味が良いためか、品揃えもよく、店員の対応も良いため評判が良い店である。
ただ不思議なことに、利用客の全て、さらには日常利用している近隣の住民でさえ、店員の顔を記憶していないのだ。
男女3人ほどいる店員の全てが、若くまるでアイドルのような美男美女で、感じが良いということだけは覚えている。しかし顔の詳細は記憶にない。
さらに店員の顔を記憶していないことに、誰も何も問題意識をもっていないことも不思議である。
「鯨のジャーキーと冷えた鯨水ください」
カッコをつけた若い兄ちゃんが、ジーンズの前を膨らませながら、レジに立つ美女、いや美少女に震えながら声をかける。
「はい、合計504円、精算機で処理お願いします」
胸の名札『魄(たま)』の文字。こんなめちゃ可愛い女の子の名前を、絶対に忘れるはずなどない·······
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