第17話 血を継ぐ者

 現場に一番に到着したのは、昭島署に設置されている警視庁総務部企画課『妖物対策本部』の総括、猫原警視正の部下である班長の警視と2人の若手キャリア警部の3人であった。


 「はい猫原です」


 デスクの上で1度鳴ったスマホを素早く耳に寄せ、低く静かに声を送る。画面に発信者は何故か『??????』と表示されていた。


 「魔宮沢交差点、妖奇事件········」


 脳の中を震わすような、甘い囁きが耳から流れ込む。いつものやつだ。


 猫原警視正の生まれが、この魔界都市昭島市であるということを、警視庁内でも知る者は少ない。


 猫原の履歴を確認すれば、この魔界都市を護る神社の宮司の血を継ぐ者と書き記されている。


 魔宮沢交差点付近にある『猫又神社』の宮司の次男として産まれ、幼少の頃より退魔神事を学ぶとともに、大学卒業後に警視庁へと奉職している。


 古き系譜を辿れば、猫又神社で生を受けた者達のうち、特に異能力の強い者何人かは、退魔関係の神職や公職に着いたとの記録が残されているようだ。

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