第14話 避魔の因子

 魔界市民を体内から護る御鯨水、そして異界から侵略する妖物を拉ぐ天津神である猫神。


 このふたつの因子により、魔界市民は妖事件から命を護られているというのが、その道の専門家達の主流の意見である。


 魔宮沢交差点に接するセブンイレブンの駐車場に、出現する伝説の『魔宮沢の魔城』。魔界市民なら知らぬ者など居ない『猫神城』である。


 猫神城に存する猫神様は、幾柱居られるのかは定かではない。しかし神の使徒である市長の語り伝えによると、天津神として下界された古より数柱の猫神様が存すると聞く·······


 「涅(くろ)、行きたけりゃあなたが行ったら」

 「市の民じゃないし、帝都の民でもないからな」

 「発現する妖事の全てに出向くほどあたしは暇じゃないもの」

 「ふっふっふ、魄(たま)は面倒は嫌いだからね」

 「あら、涅(くろ)だって、最近、魔物喰らいはご無沙汰なんじゃない?」

 「妖力が高い魔物は美味いけど、低級魔や使い魔なんかは、不味くて喰らえたものじゃないからね」

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