第12話 古文書
この神国日本の魔界都市昭島に、日出処の民を御創り給うた神が、この神国を加護なされるために、地底深くに護守として、かつてこの地が広大な海であった頃、海を総べる神の使徒であった神力を授かる御鯨を、地守護として地底深くに置かれたと聞き及んでいる。
この護守の御鯨が地底で水形に姿を変え、地下鯨脈として市内に護り巡らされ、これが魔界都市において、市民を護るご神水『御鯨水』の謂れと伝え聞く。
神の使徒といえるこの地の長の指示により、地下に眠るご神水を掘り上げ、御鯨水が永きにわたり地域の民の体内を浄める歴史を重ねているという。
魔界都市の市長は、永永と続く神の使徒の末裔に限定されており、市長候補者のポスターの右上部に『使徒末裔公認』の表示が小さく記されている。
この公認は、代々の内閣総理大臣のみが引き継がれる古文書『日出処の使徒籍』により、総理自らが確認し公認する極秘専務であり、かの書がいつ、誰が、更新するのかは知る者さえいない。
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