第10話 免妖体質

 闇に紛れて頻発する妖奇事件の多くは、妖物対策本部に席を置く高僧や強い妖奇能力者なら、折伏可能な低級妖物によるものが多い。


 24時間体制の昭島署妖物対策本部であっても、事件発生即時に現場対応できる可能性など極めて少なく、未解決事件の多発につながっている。


 しかし魔界市民が、妖奇事件の被害者となる例は思いのほか少なく、低級妖物なら近づけない磁気のようなものを、発しているのではないかと噂されている。


 妖奇事件に術もなく対応不能な世界各国からも、魔界市民には独自の免妖体質を有するのではないかと、衆目を集めている。


 ISO15189の認定を行う日本適合性認定協会においても、市民の免妖体質は未だ解析できていないが、妖奇学術会、免疫学会等の医師や学者・専門家によると、魔界都市で市民に給水されている地下水の効果によるものであろうと推定される。


 魔界市民が、日常飲用している地下水とは、古より魔界都市の地下深くに流れる『御鯨水』と呼ばれるものをいう。

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