第6話 魔城
突然の恐怖に、歯をガチガチ鳴らしながら柔らかそうな10代の女肉が、喉の奥から声を振り絞る。男の方は、恥ずかしげもなく恐怖に前を濡らしていた·····
魔宮沢の交差点には、国道を走る車の多くが利用する広い駐車場を有するセブンイレブンがある。
その広い駐車場に、丑三つ時にのみ出現する『魔宮沢の魔城』。魔界都市に住む市民なら知らぬ者など居ない『魔界伝説』のひとつである。
古よりこの地に生きる人々から語り継がれる、この魔界都市の神が棲むと言われる魔城。しかしこの魔城を見た昭島市民などいない。
市民は夜間は外出禁止、この禁を破って明日の朝陽を見た者など、数千年、いや数万年を超え存在しないからだ。
魔城には黒き猫の御姿を現す2柱の神が存する。女神を魄(たま)、男神を涅(くろ)と宣う。神とは人智を超えるものであり、正義でもありかつ悪でもある。つまり魔城に棲む2柱の神は、神でもあり魔でもある·····
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