第2話 震える夜は
なぜバス会社は、収益が低いこの路線を廃止せず継続するのか、立川市の良民は不思議に思うところではあるが、あえて口に出すことはない。
理由はただひとつ、呪われるからだ。バス会社も何度かは、この路線廃止を企画したものの、その度に突然の事故や不幸が続き、継続やむなしとの結論に至っている。
夜間、この路線に乗る客は、ほとんどが現世を捨てた者や命知らずの馬鹿者など、ごく少数の者たちのみの専用路線となっているようだ。
この路線バス運転者は、危険手当を含め高額給料で採用募集してはいるが、応募者は少ないと聞いている。
魔界都市の夜は厳しい。夜間の外出など想定外であるし、照明さえも落とし、蝋燭の灯で息を潜めて朝陽を待つのが習慣となっている。
魔界地域に居住する昭島市民は、東京都条例で明るいうちの帰宅を認められてはいるが、残業等で帰宅が遅くなる場合には、立川で1泊するのが通常の行動となっている。
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