7-3


 俺もターヴィも経験から分かっていた。いつだって楽しい時間というのはあっという間に終わるものだと。

 だから唐突にターヴィが踊りを止めて、一瞬で糸を体内に戻してその場に倒れても特に驚きはしなかった。ほんの一瞬名残惜しそうな表情を見せたが、それはこちらを見ていた彼女にも同じ物が見えただろう。

 目の前のターヴィを拾い上げ、肩に乗せる。

 そのままその場から動かず、暫く立ったまま待っていると、教会方面から誰かが走ってくるのが見えた。

 ターヴィには生体感知機能が入っているので、足音が聞こえるより先に誰かが近づいてくるのを気付けたというワケだ。


「リーデル! どこー!? どこに居るの!?」


 宵闇の中あちこち探し回っていたのだろう。足下がふらついている。そこまで教会から離れたつもりじゃなかったんだが……。


「ここだよ! ビービーお姉ちゃん!」


 子供の振る舞いに戻しつつ、ビービーに手を振ってこちらの存在を知らせる。


「リーデル! ここに居たの! 探したんだから!」

「うん、ちょっと眠れなくて……どうかしたの?」


 ただ、半泣きで狼狽えながらこちらに走ってくるビービーの次に出た言葉は流石に予想外だった。


「リーデル……メオちゃんが、メオちゃんが……死んじゃったの!!」




 

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