第2話
二
その日、会社を休もうと思ったのは、カーテンの隙間から差し込んだ朝日が
その他の理由もなかったわけではない。以前から職場の環境に
しかしそんな
布団の中でスマートフォンを手にしてインターネットで行き先を検索する。こういう時は行き慣れた場所を避けて直感で選ぶのがいい。その見知らぬ土地が私の本当の居場所かもしれないと、勝手にストーリーを想像して現実逃避できるからだ。アウトドアばやりのおかげで候補地はいくらでも選択できる。でもレビュー評価は先への楽しみが薄れるので見ないようにした。
いつでも出かけられるようにとキャンプグッズは部屋の隅にまとめてある。食材は冷蔵庫にある物に加えて、移動中にどこかで買い足せばいいだろう。目的地を決めてルートを確認すると、やおらベッドを降りて
先日買ったばかりの新しいパーカーを着て、動きやすいストレッチデニムを
一式を詰め込んだボストンバッグとテントを背負ってマンションの駐車場へ向かう。購入から3年目になる中型バイクは、つい先日ローンを
同じマンションに入居するスーツ姿の女性がちらりと目を向けて隣を通り過ぎていく。友美はその様子を見て我に返ると、スマートフォンから
送信ボタンをタップしてから、もっと別の文面のほうが良かったのではと思い直す。今までお世話になりましたとか、旅に出ますので探さないでくださいとか。意味
三
高速道路を下りてからは想像以上の山道となり、友美は晴れ晴れとした気分も忘れて
辿り着いたキャンプ場は意外にも綺麗に整備されて、第一印象では信頼できる施設のように感じられた。周辺の木々は邪魔にならないよう切り揃えられて枝葉も掃除されている。駐車場もきちんとアスファルトが敷かれて区切りの白線も引かれていた。世間には
駐車場には5台の車と2台のバイクが停まっている。従業員のものがあったとしても、他にいくらか客もいるようだ。友美はこのキャンプ場に利用の予約もしていない。とにかくどこかへ行きたいという衝動に突き動かされてここまでやってきた。思いがけない場所に期待していたところもある。野外活動にはそれくらいの余裕を求めていた。
平日なので満員ということはないだろうが、定休日やすでに潰れて閉鎖されている可能性はあった。どうやらそれは
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