第37話 魔剣祭10
現在、俺、シエラ、ロイド、レインでシエラの校内選優勝を祝っている。
シエラが優勝したこともあり、費用は学院長持ちだ。
よって、ここは高級レストラン。
レインとロイドは慣れていないせいか、落ち着かない様子だ。
対してシエラは実家が太いのか、こういう場に慣れている。
俺はというと、たまに付き合いで来る程度だ。
それよりも、俺がこの場にいて良いのだろうか?
俺は校内選に出場すらしていない。
まあ、俺を招待したのはこの3人だから良いのだろう。
適当に話していると早速、料理が運ばれてくる。
4人で乾杯をして料理に口を付ける。
高級レストランという事もあり、とても美味しい。
特に、この肉は口に入れた瞬間にとろけてなくなった。
何の肉かは分からないけど。
とにかく美味しい。
ロイドとレインを見ると、とても満足しているようだ。
シエラも同様に美味しそうに食べている。
「魔剣祭なんだが、馬車を3人分予約したからな」
俺はレインとロイドにそのことを伝えた。
その発言にシエラは少し驚いている。
「あなた達も来るの?」
「そりゃあ、応援しに行くに決まってるだろ」
「でも、その日は授業があるんじゃ・・・?」
「学園長に許可をもらったから大丈夫だ」
「そ、そう」
そんな会話をしながら食事を終え、4人で帰路をたどる。
レインとロイドが前を歩き、俺とシエラがその後ろを歩く。
「Sクラス2位の試合見てた?」
ふと、シエラはそんなことを聞いてきた。
「ああ、見てた」
「ノアなら、どうやって相手を気絶させたのか見当がついてるんじゃない?」
「まあな、あれは・・・」
そして、俺は自分の見解を話した。
勿論、前にいるロイドとレインには聞こえないくらいの声量で。
「なるほど。つまり、私の魔力の質なら、あの理不尽な負け方は無いという事ね」
「そうだ。あれは、魔力の質が倍以上優れてないと出来ないからな。だが、油断するなよ。レナなら他にも無属性魔法が使えるはずだ。」
こんなにも、シエラが魔剣祭に対してやる気があるのは良いことだが、残念ながら魔剣祭には俺が出場する。
よって、確実に優勝は出来ない。
そのことを伝えたいが、今伝えたところでシエラのモチベーションが下がってしまうだけだ。
だから、魔剣祭までは内緒にしておく。
「ノア、今レナって言った?まさか、彼女と話したことあるの?」
「校内選の1週間前に偶然知り合った」
「へー。」
何故か不機嫌になるシエラを横に俺は魔剣祭で何も起こらないことを神に願う。
神と言ってもリリアではない、自身の心に宿している神だ。
翌日になり、俺に悲報が訪れた。
いや、考え方によっては朗報なのか?
なんと、校内選の結果によりレインとロイドがEクラスからDクラスに昇格したのだ。
それを今朝担任のクラウスが報告した。
そのことを、レインとロイドも聞いてなかったらしく、俺に別れを告げ、クラスを移動した。
現在俺の前の席はレインではなくDクラスからEクラスに落ちた知らない生徒がいる。
寮も、今週中には移動するらしい。
何とかしなければ。
せっかくできた友人と距離が出来るのは許せない。
俺は1限の授業を抜け出し、学院長室へ向かう。
急ぎなこともあり、学院長室の扉をノックをせず開ける。
「学院長!!」
俺が叫びながら入ると、何やら作業をしていた学院長が驚いた様子でこちらを見てきた。
「何かな?」
「レインとロイドがDクラスに昇格してしまいました。」
「そ、それはおめでとう」
確かにおめでとうだ。
だが、俺にとってはおめでとうではない。
そのことを学院長に伝える。
「なるほど、友人が別のクラスになって寂しいと言う分けか」
「言い方は気に入りませんが、大体は合ってます」
「で、私にどうしろと?」
「俺もDクラスに昇格してください」
無茶ぶりと分かっていながらもそんなお願いをする。
「いや、そんなこと言われても。それに、君がDクラス程の実力を持っている確証もないしさ」
学院長は俺の実力をある程度評価している。
よって、現状この男は俺をからかっている。
だが、ここで強気に出ても逆効果だろう。
「そこを何とか」
「そうだね、私の独断ではどうしようもないからね。」
ここで俺は一つあることを思い出す。
「学院長、そういえば俺が魔剣祭に出場する条件として貸し一つと言いましたね」
そう言うと学院長は不意を突かれたように体をビクッとさせた。
「そ、そうだね」
「もし、俺をDクラスに上げないというなら魔剣祭への出場を考え直します」
「待ってくれ。分かった。Dクラスに昇格させよう」
こうして、俺は無事Dクラスへ昇格した。
早速、学院長はEクラス担任のクラウスとDクラスの担任を呼び出し、事情を説明した。
勿論、理由は適当に誤魔化したが2人とも納得してくれた。
特にクラウスは自分の生徒が上のクラスに昇格することを喜んでいた。
「じゃあ、クラウス先生、今までありがとうございました。」
そう別れを告げ俺はDクラス担任に連れられDクラスの教室へ向かう。
Dクラスの教室はEクラスの教室の真上の階にあり、Eクラスよりも設備が少しだけ良い。
「全員座れ」
Eクラス担任がそう言うと、一瞬にしてクラス中が静まり返った。
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