第10話 特別試験3
再び島に入って数分後俺はレインを見つけることが出来た。
「レイン!」
レインは倒れている。
以外に指定の位置ゴール付近にレインはいた。
「待ち伏せされていたのか」
確かにゴール付近での待ち伏せは強い奴にとっては効率的だろう。
俺はレインの口元に耳を近づけた。
「よかった。息はしている。」
しかし、レインは自分の魔法石を一つも持っていなかった。
時間はあと15分くらいか。
俺は意を決して探知魔法を発動する。
探す相手は決まっている、Sクラスの人間だ。
Sクラスの人間が保持している魔法石は20ポイントつまり1つあれば試験にごうかくすることが出来る。
「見つけた」
まだ指定の位置に到着していないSクラス総統の魔力をこの先から感じる。
俺はレインに治癒魔法をかけて、安全な場所に寝かせた。
「あとで迎えに行くから少し間といてくれ」
俺は寝ているレインにそう言って魔力を感じる場所に向かう。
気配を消して近づいたらそこにいたのはシエラだった。
俺は悪いと思いつつもシエラに向かってアースバレット(土弾)を打った。
シエラは当たる寸前に気が付き避けることが出来た。
「誰?」
「悪いな、シエラ。お前の魔法石を奪いに来た」
残り時間は少ない、実力がばれてでも俺は魔法石を奪うことにした。
「ノア、あなた確か魔力量160でEクラスだったわよね?それで私に勝てると思ってるの?」
「勝てるさ」
俺はそう言ってウォーターボールを打った。
シエラはそれをたやすく避けたが驚いた顔をしていた。
「あなた今、詠唱せずに魔法を打ったの?」
「ああ、俺は無詠唱魔術が使える。こんな風にな。」
俺はファイヤーボールを無詠唱で連射した。
もちろん目的は気絶させるだけだから威力は抑えてある。
「ウォーターウォール(水壁)」
シエラは避けられないと判断したのか即座にウォーターウォールを展開し俺の魔法を相殺した。
「あなた、本当にEクラスなの?」
シエラは驚いた顔で俺に聞いてくる。
「色々事情があってな、まあ試験が終わったら真実を教えてやる。」
俺は、自分の実力を隠す気はなかった。
いや、正確にはもう隠し通せないだろう。
まあ、シエラなら真実を話しても誰にも言わないだろう。
「そう、約束よ。とりあえずノアがEクラス以上の実力を持ってることは分かったわ。けど、せいぜいAクラスくらいの実力でしょ。それじゃあ私には勝てないわ」
「それはどうだろうな」
「今度はこっちから行くわよ。ファイヤーストーム」
シエラが詠唱したとたん炎の嵐が巻き起こった。
すごいな、この年で火と風の合わせ技を使えるなんて。
「えっ」
シエラが驚くのも無理はない。
俺は周囲を灰にした魔法の中、無傷で立っているのだから。
「Sクラスってこんなものなのか」
俺はシエラに煽るような口調で言った。
ここでシエラに悔しさを与えることでさらに成長するかもしれないからだ。
「そろそろ時間が無い、終わらせるぞ」
俺はそう言って今のシエラの実力じゃ耐えられないほどの威力で土弾を打った。
「うっ」
「驚いたな、まだ立っていられるなんて。」
「甘く見てもらっては困るわ。これでもSクラスで3位なんだから」
シエラはそう言ったとたん地に足をついた。
俺はシエラのポケットから魔法石を取りシエラに治癒魔術を掛ける。
「どうして?」
「俺の目的は20ポイント分の魔法石だ。それにシエラも俺の友達だからな」
俺がそう言うとシエラは驚いた顔をしていた。
「でも今からじゃ指定の位置ゴールに付けないんじゃないかしら」
「そのことなら大丈夫だ、とりあえず付いてきてくれ」
俺とシエラは二人でレインを寝かせてある場所に向かった。
「この子の分のポイントが欲しくて私から奪おうとしたわけね。」
「そうだ。なかなか指定の位置ゴールに来なかったから探していたらこの近くで気絶していた。」
「大変だったわね。見たところ傷がないけれどノアが治癒したの?」
「そうだ。」
「あんた何者なのよ」
シエラは呆れたような口調で言った。
「それは試験が終わったら教えてやるよ。てか、もう時間が無い、シエラ俺の手を握ってくれ」
「何言ってるの!!いきなり手を握れだなんて」
シエラの頬は真っ赤になっていた。
「指定の位置近くまで転移するんだよ。俺以外の人も一緒に転移するとなると肌の接触が必要なんだ。」
「そういう事なら早く言いなさいよ」
シエラはなぜか怒っている。
俺はレインを担いでシエラの手を握り転移魔法を発動した。
「すごい。本当にゴールが目の前にある」
シエラは感動していた。
「シエラお願いがあるんだけど俺の実力は内緒にしといてくれ」
「分かったわ。誰にも言わない」
シエラはそう言って自分の担任のいる場所に行った。
俺はシエラから奪った黒色の魔法石をレインのポケットに入れEクラスの担任クラウスのとこまで連れていく。
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