第3話 出会い
目を覚ました。
今日は試験当日だというのによく眠れた方だと思う。
自分をほめてやりたい。
「とりあえず今日の入学試験の準備をするか。」
準備といっても早めに試験会場に行って周りの受験生の魔力量を見るだけだがな。
とりあえず転移先を決めるか。
転移先は決めれても、そこに人がいるかは運しだいだ。
感知魔法を使えば人の場所がわかるかもしれないが、さすがに遠すぎて無理だった。
俺はイストラの地図を開く。
「うーん入試会場から近くて人がいなさそうな場所はここだな。」
俺は身支度を整えてその場所に転移をすることに決めた。
目をつむり、集中する。
転移魔法は失敗したらどこに飛ぶか分からない。
もしかしたら宇宙に飛んでしまうかもしれない。
いや、宇宙ならまだいい方だろう。
人通りの多い場所に飛んでしまったらせっかくリリアが容姿を変えてくれたのが全て水の泡になってしまう。
雑念を消して俺は魔法を発動する。
俺はそっと目を開ける。
結論から言おう「失敗した」いや、「成功した」
意味が分からないだろう。
俺だって意味が分からない。
転移先は完璧だった。
しかし、人気がないと思っていたこの場所に一人の少女が立っていた。
その少女は赤色の髪の毛で長髪、顔が小さくて、目が大きい。
正直に言おう、めちゃくちゃかわいい。
そのかわいさを例えるならそうだな、女神のリリアと互角に渡り合えるほどのかわいさだった。
リリアは女神だからかわいいのは当たり前だと思っていたが人間でこの可愛さは見たことがない。
ダメだダメだ。
そんなことを考えている場合じゃない。
目の前にいる少女は驚きのあまり固まっているではないか。
とりあえず、そうだな挨拶をしてみよう。
「おはよう。」
「おはよう。ってそんな挨拶どうでもいいわ」
挨拶がどうでもいいってけしからんな。
「今、あなた急に目の前に現れなかった?」
少女は予想通りの質問をしてきた。
どうしたものか。
とりあえず何か言い訳をしないと。
「気のせいじゃないかな」
これで反論は出来まい。
「あなた、その魔法転移系よね?しかも転移系の魔法を使えるのはこの世界で2人しかいないはずだけど。そのうちの一人は死んでるはずだからもしかしてあなた世界最強の魔術士なの?」
何この子、感がよすぎるんですけど。
まだ入学してないのにこんなところでばれるわけにはいかない。
「いや違うよ」
とりあえず否定してみた。
効果はないとわかっていてもこれしか思いつかなかった。
「そうよね。あなたがあの世界最強の魔術師だなんて思えないわ」
効果は抜群だ。
感はいいのに意外とアホなのかな。
「あなたが急に私の目の前に現れたように見えたからびっくりしたわ。気のせいよね?」
気のせいじゃありませんなんて言えるはずもなく、、、
「はい。僕は普通にこの道を通ってきただけですよ。そうだ、あなたも受験生何ですか?」
なんとなくそうだと思いつつも会話に困ったので質問してみることにした。
「そうね。まあ、私はSクラスを目指すつもりよ」
「Sクラス?」
Sクラスなんて意味深なワードを言うからつい反応してしまったではないか。
「あなたクラス分けも知らないの?」
「すみません。教えていただけると助かります」
「魔法学院にはS~Eクラスまであるの。この入学試験で好成績をとれた人がSクラス、そこからどんどん下がっていって一番下がEクラスってわけね。ここまでは理解できた?」
要は成績順でクラス分けされるってことだな。
てか、この人親切だな。
「はい。教えていただきありがとうございます。」
お礼は大事だ。あと敬語も大事だ。
「あなた今16歳よね。同い年なんだから敬語使わなくていいわよ」
敬語はいらなかったらしい。
「で、話の続きをするわね。クラスはずっとそのままじゃなくて中間テストや期末テストの結果ほかにも学校独自のクラス対抗戦次第で上下するらしいわ」
「でも上のランクを目指すメリットって何かあるのか?」
「!!」
敬語を使わなくていいと言われたから普段の口調で話したが、どうやら口調まで変わったことに驚いたのか目の前にいる彼女は少し驚いたような表情を見せた。
「クラスが上下するってことはクラスによって何か報酬があったりペナルティーがあったりするのか?」
「もちろんあるわ。例えば魔法学院って完全寮制でしょ。」
初耳だ。
俺はその辺の宿に泊まろうと思っていたから好都合だ。
「で、その寮が上のクラスに行けば行くほど豪華になるらしいわ」
「ほかにも上のクラスに行けばいろいろなメリットがあるらしいわ」
まあ、俺の目的は友達作りだから正直上のクラスに行くことはしなくていいだろう。
何ならSクラスになんてなったら目立ちそうでいやだな。
「なんとなく魔法学校の仕組みが分かった気がする。ありがとう。」
俺は目の前の少女にお礼を言った。
「こんな話、受験に落ちたら意味がないのだけれどね。あなたは大丈夫なの」
あ、完全に忘れてた。今から受験だった。
「とりあえずこんな場所で立ち話もなんだから一緒に受験会場に行きましょう」
これはデートの誘いと受け取っていいのだろうか。
いや、俺は普通の男ではない世界最強の魔術師だ。
こんなので勘違いするはずがないだろう。
俺は少しにやけながら少女の後をついていった。
「そういえば君はなんであんな人通りの少ない場所に居たんだ?」
「自己紹介がまだだったわね。私の名前はシエラ・ルミナ。あの場所にいた理由は・・・、少し一人になりたかったからよ。」
一人になりたくてあの場所にいたのに俺が転移してきたのか。俺もシエラも運がないな。
「あなたの名前は?」
俺の名前いっても大丈夫なのか?
人々は俺のことを世界最強だの世界最強の魔術師だの呼んでたから名前で呼ばれた記憶がないな。
みんな俺の名前知らなかったのか?
確かに名乗ったことないけど。
やばい考えてたら悲しくなってきた。
「俺の名前はノアだ。ノア・ルクレア」
まあ、世界最強の魔術師の名前なんて誰も知らないだろ。
「そういえばさっきの質問の続きなんだけどノアって受験大丈夫なの」
「たぶん受かりはすると思う」
なんの根拠もないけど。
そんなことを話しているうちにとうとう受験会場についてしまった。
ここからが正念場だ。
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