第4話 筆記試験
受験会場につくと俺とシエラはそれぞれ指定された教室に向かった。
教室に着いて10分くらい経過した時に前方の扉から試験官と思わしき人物が3人が入ってきた。
「これより試験の説明を始める。」
やはりこの3人は試験官だった。
3人とも魔力量は人並み以上あるし魔法学院の先生だろうか。
「まずはこの教室で筆記試験をしてもらう。筆記試験は魔法基礎、歴史、数学の3科目を行う。それぞれ時間は1時間の計3時間だ。筆記試験が終わったら1時間の休憩をした後実技試験を行う。なお実技試験は訓練場で行うため指定の時間になったら訓練場に集合するように。」
なるほど筆記試験は魔法基礎、歴史、数学の3科目か。歴史と数学はともかく魔法基礎なら俺でもカンニングせずにできそうだな。
「それでは問題用紙と回答用紙を配る。私が初めというまで回答をしないように。」
そう言ったとたん残りの二人の試験官が手分けして回答用紙と問題用紙を配り始めた。
「まずは数学からだ。初め!」
試験官の合図とともに周りの受験生が真剣に問題を解き始めた。
俺は一応問題を見てみた。
うん。一問もわからない。まあ、焦ることはない。
想定済みだ。
俺は当初の計画通り魔法を使って対象の答案を見ようと試みる。
誰の答案を見るかだって。
そうだな、俺は一目見た瞬間から気が付いていた。
シエラの魔力量がこの世界でもかなり多い方だということを。
じゃあ、さっそく…
あれ、おかしいぞ。魔法が発動しない。
この学院の誰かがカンニング対策に一定の範囲で魔法を封じる魔道具を使っているのか。
「チッ」
俺は無意識に舌打ちをしてしまっていた。
そもそもなんでこんなカンニング防止策をとっているんだよ。
昔、小声で魔法の詠唱をしてばれたとかそういう前例でもあるのか?
さて、どうしたものか。
このままだと確実に受験に合格できない。
俺は長考する。幸い試験時間は1時間ある。
その間に早く打開策を考えなければ。
30分ほど経過した時に俺は一つの策を思いついた。
魔道具の範囲外から魔法を発動して魔道具を壊せるのではないか。
こんなこと普通の人間にはできない。
だが俺ならできる。
時間もないしやってみるか。
まずやるべきことはどこに魔道具があるか調べる事だ。
俺は今いる場所から2キロ先に探知系の魔法を発動して魔道具の場所を調べてみる。
どんなに高性能な魔道具でも効果範囲は約1キロが限界だろ。
お、見つけた。
魔道具は職員室に置かれていた。
さて、これをどう破壊するかだな。
爆破系の魔法を使ったら絶対にばれるから駄目だ。
となると、あの魔法しかないか。
俺は自作の魔法を発動した。
極小のビーム。(名前はまだない)
普通の人間では認識できないほどの大きさ。
しかし、威力は十分にある。
これで魔道具は壊れただろう。
壊れた時に音が鳴っただろうが多分ばれてない。
俺は試しに隣の奴の答案を見ることにした。
もちろん魔法で。
お、使える。
どうやら魔道具の破壊には成功したようだ。
じゃあ、シエラの答案を見るとしますか。
俺はシエラがいる教室を探知系の魔法で探し出した。
シエラは俺がいる教室の真上にある教室にいた。
シエラの場所を特定した俺は答案を見るべく魔法を発動した。
答案を見ると、とっくに終わっていたようだ。
すごいな、まだ15分ほど時間があるというのに。しかも字が綺麗。
てか、隣の奴と回答が全然違う。
俺は心の中でドンマイと言った。
「終了。そのまま歴史のテストを開始する。」
俺がシエラの答案を写し終わって数分後、試験官の合図があった。
意外と移すのも時間がかかるものだな。
さて次は歴史か。
俺は魔法を発動する。
シエラの回答用紙はものすごい速度で回答が書かれている。
10分ほどたったらすべて解き終わっていた。
俺はその回答を3分で書き写した。
「終了。最後は魔法基礎のテストだ。開始。」
俺は魔法基礎の問題用紙に目を通してみた。
出来る。
俺は確信した。
考えてみれば魔法基礎なんて世界最強の魔術師である俺が解けないはずがない。
例えば一問目(魔力量は生まれた時から一定であり、訓練しても増えることはない。〇か×か)
この問題の答えは当然×だ。これに関しては俺の体で実証済みである。
俺の魔力量はもともと人よりも何倍もあったが師匠との訓練の成果もあり今ではほぼ無限の魔力量を持っている。
俺はこの調子で魔法基礎の問題をすべて解き終わった。おそらく満点だろう。
時計を見ると残り時間は約30分一応シエラの答案を見とくか。いや、せっかくカンニングをせずに解いたんだ。
俺は答案を見るのをやめた。
それにしても暇だな。
俺は一分に一回時計を見ていた。
全然時が進まない。
あ、そういえばあの魔道具を直さないといけない。
俺は魔道具のことを思い出し魔道具に時間を巻き戻す魔法をかけた。
この魔法は生物には発動しないが生物以外なら発動する。
リリアはおそらく俺にこの魔法、いやこの魔法に似た何かをしたのだろう。
そう考えると神ってすごいな。
俺は改めてそう思った。
俺は、魔道具を直した後残りの時間ずっと寝た。
「筆記試験は終了です。」
試験官の声を聴いて俺は目を覚ました。
「次は実技試験です。休憩をした後に指定の時間に訓練場時集合してください。」
試験官がそう言ったと同時にほかの受験生は立ち上がって筆記試験のことについて話していた。
もちろん俺も例外ではない。
「君は試験どうだったんだい?」
隣の奴がいきなり話しかけてきた。
見た目はそうだな、いかにもナルシストっぽい感じだ。
そういえばこいつシエラの回答と全く違う答え書いてた奴だ。かわいそうに。こいつが実技でいい成績をとらないともう会うこともないだろう。
「まあまあ出来た方かな。君はどうだった?」
俺はこいつが自分の回答に対してどう思っているか気になってしまい質問してみた。
仕方ないだろう気になったのだから。
「うーん。一言でゆうなら完璧だね。」
俺が予想していなかった答えが返ってきた。
俺は動揺しつつも、こいつと世間話を少ししてから教室を出た。
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