第2話 情報収集

魔法学院に関しての情報収集をするために街に来ている。






俺は人が多いところが苦手だ。


人が多いと俺が歩くだけで人々が群がり感謝の言葉を伝えられたり決闘を申し込まれたりと普通にめんどくさい。


別に一人が好きってわけじゃないけど街に来るたびにこれじゃあ、人が多いところが苦手になるのも仕方がないだろう。




しかし、今はリリアのおかげで容姿が変わっている。


前の顔の面影はあるだろうがおそらくばれないだろう。


現に今30分ほど歩きまわっているが誰一人として声をかけてこない。


いつもなら門を通った瞬間に人が群がるというのに。




「最高だ」




おっといけない。


うれしさのあまりそんな言葉が口からこぼれてしまった。


とりあえず当初の目的通り魔法学院に関する情報収集をするか。


まずは、そうだなそこのベンチに座っているいかにも情報屋っぽい見た目の男に話しかけてみるとするか。




「すみません。お時間よろしいでしょうか?」




いつもならこんな話方なんかしないが今の俺はただの魔法学院の生徒。


いや、入学はまだしてないけど。




「ちっ。うるせえなぁ」




何だこいつせっかく世界最強の魔術師が敬語を使って話しかけているというのに。


この男ぶっ殺してやろうかな?


そんなことを思いつつ俺はこの男に無理やり質問をしてみる。




「魔法学院について知りたいんですけど?」




男は手のひらをこちらに差し出してきた。


なんだ?




「金だよ金」






なんだ金か。


急に手のひらを差し出してきたから手をつなぎたいのかと思ってしまった。


考えただけで吐き気がしてきた。




「これは失礼しました。このくらいで足りますか?」




俺はその男に金貨5枚を差し出した。


この世界の金貨の価値は一般家庭は1枚あれば一年贅沢できるくらいだ。


なんでそんなに金を持ってるかって?それは俺が世界最強の魔術師だからだ。


というのも魔物の襲撃を一回くい止めるだけで金貨1000枚国からもらえる。


それが何百回もあったから俺はこの世界でもかなりの金持ちだと思う。


それに忙しすぎてほとんど使うことがなかったし。




「ああ、十分だ」




男は少し動揺していたが無理もないだろう。


目の前にいる少年がこんな大金を持っていたなんて少しも思ってなかっただろう。




「で、魔法学院についてだったか。そうだな、俺の知ってる限りだとこの世界の魔術師を目指している奴らの中でかなり優秀な奴じゃないと入れないってイメージだな」




なるほど。


俺も才能面ならかなり優秀な方だと思うから安心だ。




「では、入試方式はご存じですか?」




今の俺に一番重要なことを聞いてみる。




「ああ、毎年実技試験と筆記試験があるな。おそらく今年もこの2つだろう」




筆記試験があるのか…終わったな。




いやまだあきらめるには早い。


俺は世界最強の魔術師だ。


一カ月くらい死ぬ気で勉強すればきっと大丈夫なはずだ。




「色々教えてくれてありがとうございました。」




俺は絶望しながらもしっかりとお礼を言った。




「あ、最後にもう一つだけ質問してもいいですか。」




俺は肝心なことを聞くのを忘れていた。




「魔法学院の入試っていつあるんですか?」




「明日だ」




え、明日?勉強する時間ないじゃん。


俺は絶望しながらその男に会釈をしてその場から立ち去った。








宿を借りてベッドに座りながら考えていた。




最初に思い浮かんだのは今年の受験を諦めて来年受験することだった。


だが思い浮かんだ瞬間に自分の中で却下になった。


理由はもちろん俺は今すぐにでも魔法学院に入学して友達を作りたいからだ。


一年なんて待ってられない。




というわけ現状の2つの問題を考えることにする。




1つ目は言わずもがな筆記試験だ。


これはもうカンニングするしかないだろう。


一般的には魔術は詠唱をしなければ発動しないが俺は無詠唱でも魔術を使える。




「魔術を使って周りの受験生の答案を写すのが得策か。」




詠唱をしなければおそらくばれることもないだろう。


だがこの方法には問題がある。




例えば俺が魔術で隣の受験生の答案を見るとしよう。


そいつが馬鹿である可能性は決して低くはない。


ま、俺よりかは出来るとは思うが。




これに関しては周りの魔力を見るとしよう。


何を言っているか分からないと思うが俺の経験上魔力量が多い人ほど学力は高い。


もちろん俺は例外だ。


理由はおそらく魔力が多い奴は貴族などの身分が高い奴が多い。


身分が高い奴はいい教育を受けさせられているからな。




「とりあえず筆記試験に関しては受験開始前に魔力量が多い奴をチェックしておこう。」




2つ目の問題は受験会場に間に合わないということだ。


受験会場は俺が今いるクレイラ帝国の隣にある魔法が盛んな国イストラが受験会場だ。


クレイラからイストラまで馬車で1週間はかかる。




これに関しては転移魔法を使おうと思う。


ただし転移魔法にも問題がある。


転移魔法は文字通り転移系魔術だ。


転移系の魔術を使えるのはこの世界に2人しか存在しない。


一人はもちろん俺でもう一人は俺の師匠だ。


ということで転移魔法を見られてしまったら国にスカウトされて元の生活に逆戻りだ。


それは絶対に避けなければならない。


なるべく人がいないところに転移をすることにしょう。


これで明日の受験の大まかな対策は決まった。




「ということで明日に備えて寝るか」

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