世界最強の魔術師が魔法学院に入学する

@nano-a

第1話 世界最強の魔術師若返る

世界最強という言葉に憧れたことはあるだろうか?


多くの男子は一度は憧れただろう。


しかし、実際に世界最強になってみたら大変なことばかりである。


例えば、寝ている時、急に魔物の襲撃があったらすぐに前線に出て戦わなければならない。


他にも世界最強の座を賭けて決闘を挑まれたり、街に出たら「いつ魔王を倒して下さるのですか?」と悪意のないプレッシャーをかけられたりと毎日ストレスがかかる日々を過ごすことになる。


…だから「世界最強をやめたい」


そんな事を口にすると急に目の前に知らない女が出現した。


「瞬間移動か?いや、それなら出現する前に気付けたはずだ。まず、この女からは魔力を感じられない。」


額から冷や汗が出てくる。


初めてだ死の恐怖を感じるのは。


「初めましてノアさん。私の名前はリリスです。この世界の神をしています。」


リリスという女は突然そんな訳のわからない事を言ってきた。


『何故お前が俺の名前を知っている?』


俺は強めの口調でこの女に質問してみた。


『さっきも言ったじゃないですか私は神です。この世界の事なら何でも知っています。それとお前じゃなくてリリスです。』


俺は思考を巡らせた。


まずこの女からは魔力を感じられない。


この世界の生物には例外なく魔力が体内を巡っている。


俺はその魔力を見ることが出来るがリリスからは魔力ではなく別の何かが巡っているように見える。まさか本当に神なのか、、、。


『考え事は終わりましたか?』


『ああ、すまない。一つ質問してもいいか?』


『どうぞ。何でも答えますよ。私神なので。』


神関係あるか?


『リリスが本当に神だとして何故俺の前に現れたんだ?』


俺が一番気になっていた疑問をリリスに質問してみる。


『いい質問ですね。では答えましょう。それは、貴方がこれまでこの世界を何度も救ってきたからです。そのお礼として貴方を魔法学院に入学させてあげます。貴方が望んでいるものは心の底から友達と呼べる存在ですよね。』


こ、こいつ俺に友達がいない事を知ってるのか。


しかも友達が欲しいことまでバレてる。


平常心だ平常心俺なら出来る。


『魔法学院に入学させるって言っても年齢的に無理なんじゃないか?それに顔もとてもじゃないが16歳には見えないだろ。』


『そこは任せてください私は神ですよ。容姿を変えるなんてこの世界を滅ぼすくらいには簡単です。』


何それ、本当にできそうで怖いんですけど。


容姿を変える魔法か、出来そうで出来ないんだよな。


意外と痒いところに手が届かないのが今の魔法の現状だ。


でも本当に魔法学院に入学出来たら俺にも友達が出来るんじゃないか?


それに世界最強という肩書きからも解放される。


『リリアいや、リリア様俺を魔法学院に入学させて下さい。』


『いいでしょう。では、』


リリアが俺に手をかざした途端物凄い光と共にリリアが光の粒になって消えていくのが分かる。


本当に神だったのか。


『あ、言い忘れてましたが容姿を変えるだけなので貴方の力はそのままですからね。あと、入試には自分の力で合格して下さいね。では、いつかまた会いましょう。』


リリアは完全に目の前から消えていった。


「魔法学院か、、、」


思えば俺は生まれた時から魔術の才能に恵まれていて6歳を超えるころには国の命令で毎日魔物討伐や盗賊退治など色々なことをさせれたせいで学校行ったことないんだよな。


「友達出来るかなぁ?」


考えれば考えるほど不安になってくる。


「あ、そういえば本当に自分の容姿が変わっているのかを確認してない」


昔のことを思い出してたらつい忘れてしまっていた。


こんだけ楽しみにして実はこれドッキリでしたなんて言われたらこの国を滅ぼしてしまうかもしれない。


まあ、まずは確認だな。


「ミラー」


俺がそう唱えると目の前に自分の身長と同じくらいのサイズの鏡が出現した。


本当は詠唱なんてしなくても魔法を使えるんだけど記念だし。ね。


「お、おーーーー。」


俺は感動で言葉を失っていた。


魔術の天才と言われていた俺ですらも人の容姿を変えることなんかできなかったのに、16歳といっても過言ではない顔になっている。


それにもっとすごいのがおそらく容姿だけでなく年齢も若返ってる。


年齢とともに悪くなっていた視力がよくなってるし何より昔のように力がみなぎってくる。


これは、焼肉食べても胃もたれしなさそうだ。


リリアは俺が世界を何度も救ってきたお礼と言っていたが俺の倒してきた魔物ってそんなに強かったのかな?


「そういえば俺が突然消えたらこの世界は大丈夫なのだろうか?」


今までこの世界は、魔物の襲撃があったら基本的には俺が前線で魔法を打ちまくって殲滅していたけど俺がいなくなったらどうするのだろうか?


まあ、俺以外にも強い魔術師はいっぱいいるし何よりこの世界には剣士もいる。


彼らが力を合わせればきっと大丈夫だろう。


「とりあえず俺が今すべきことは魔法学院の情報収集だな」


俺は一人でそんなことをつぶやいた。


リリアと出会ってから数時間しかたってないがなんか悩み事が増えた気がする、、、。


リリアは入試は自分の力で合格しろと言っていたが、俺は自慢じゃないが魔術のこと以外は人並み以下だ。


入試に数学とか出たら合格できる気がしない。


魔法学院なんだから実技試験だけにしてくれ!!


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