第8話 自助努力の結果

亜種白路、百舌鳥柄遺伝子、KTC、Enemy、それから彼らに雇われたGossip


スカーニーの忘れ物を取りに来てほしいと言われて多くの人々が詰めかけた。


「スカーニーがいなくなったって本当だったんだな」

「いやあ、さすがスカーニーさん自分の立場をよくわかってる」

「老兵は死なず、ただ去りゆくのみだっけ?」

「いやあかっこいい!!やばい!!まじでやばい!!」


有名歌手のコンサート会場のような盛り上がりだった。


「オルレアンとの面談だろう?俺たち何も悪いことしていないもんな。そりゃそうだよな、ゲオルギとかアルバートの出る幕じゃねえんだよ」

「スカーニーさん中心の世の中なのに、ゲオルギとかアルバートがでしゃばるなって話、ようやくわかってもらえたみたいでよかったわあ」

「ゲオルギはまだ良いけどアルバートは無理。あいつがなんでこの神聖な土地に踏み込んでこようとしたのかが意味不明」

「娘だってLibelawの家の息子が好きなんだろう?バカなんじゃねえの?」



Amadeus Juryは神聖な審理の場だという説明はみな受けている。しかし、流浪遺伝子を含めた彼らにはその意味が全く理解できないらしかった。


「スカーニーの忘れ物って何だろうな?」

「何もらえるんだろう?」

「現金かな?」

「あたし海外旅行とかもつけてほしい」

「あたしはThroenの誰か紹介してほしい!ロレンツォとかめっちゃイケメンじゃん!」

「そうか!だったら俺はジゼルがいいなあ。すっげぇ美人だもん」


組織ごとに自然とグループが形成される。亜種白路の中核メンバーはおとなしくその様子を冷めた目で見つめて小声で囁き合う。

「あいつらにはそのくらいでいいだろう。Mjustice-Law家が持っているものを教えなくてよかった」

百舌鳥柄遺伝子たちはこう囁き合う。

「ようやく金の心配をしない人生っていう俺たちの目的が成就する。俺たちの判断でLibelawの家だったら許可してやってもいい」

「Consavaywの家はどうする?

「じっくり考えようじゃないか、戦後処理のようなものだ」



「諸君、スカーニーの忘れ物のためにわざわざご足労いただいたこと感謝する」

声は少しだけ低く、英語訛りがある。背は高いし、オルレアンではないことが見て取れる。あれはアルバートだ。

会場の喧騒がAmadeus Jury本来の厳粛さよりもさらに重々しい空気に包まれていく。

「それではこれからサリエリの決定事項の執行を行う。これから配られる番号に従って誘導係の指示通りに動くように」

アルバートの両サイドにいるのは、、、スチュワートだ!セバスチャンもいる!

左側で構えているのはビルとセオだ。

会場がざわめく。

ひとりのものが手を挙げる。

「オルレアンは?グレースは?私たちは彼らに呼ばれてきました」

「言っていることがよくわからない。Invitation Cardにそんなことが?」

「はい」

「私たちはMjustice-Law家としてカードを出したつもりだが、カードをそれぞれ確認してもらえるかな」

ひとりひとりがカードを乱暴にバッグから取り出して確認する。

「みんなカード持ってるね!本人確認完了」

スチュワートがケラケラ笑っている。こういう余裕のあるところが百舌鳥柄から嫌われていた。

会場が混乱しはじめる。一発大きな銃声が響き、悲鳴と共にまた静寂が生まれる。

「ここは神聖なAmadeus Juryだ。指示に従え、百舌鳥柄」

セオの言葉に百舌鳥柄はぐっと息を呑んだ。

「話が違うじゃないか!スカーニーは処分されたんだろう?!Mjustice-Law家を裏切ったんじゃないか!!Writerが隠蔽工作された時に許可を出したのはスカーニーじゃないか」

「スカーニーが処分された?誰がそんなことを言ったのか?」

アルバートの声色がさらに深みを増していく。

「言わなくてもわかる!事実上の処分だろう!つまりは裏切ったからだよ!」

「その裏切り者の忘れ物を君たちはどういう理由で取りに来たんだね?」

亜種白路が言葉を失い、悔し紛れにアルバートを睨みつける。

「グレースはどこですか?オルレアンはどこですか?あんたたちじゃ話にならない」

「そんなに会いたいの?じゃあ今からすぐに会わせてやるよ」


夕刻の赤は血の色だ。地球が真っ赤に染まっていく。








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