第21話
12月。
『♪今年のクリスマスに
どうしても欲しいものがあるのBABY
真っ赤なリボンに包む
ダイヤモンドじゃなくて〜♪』
『またママの歌うたってるー』
『ママの歌じゃないけど、ママの歌だよ』
私が家でも車でもジュディマリを聴きすぎて、
子供たちは私が歌ってる曲だと勘違いしている
(ジュディマリ好きな方、本当に申し訳ありません)
髪型や格好なども寄せすぎて、YUKIの画像を見ても
『ママ?』
と間違える末っ子の次女。
今年は長女とユウの真ん中バースデーは行われなかった。
ナナがユウにも呼びかけてくれたが、
ユウは体調不良。
私も体調不良で、今年は家族のみで、
長女の誕生日をお祝いした。
私は過呼吸を起こした日から、
体調が優れない。
昼の仕事へ行くと、
それまで何ともなかったのに、
職場に着いた途端、動悸がして過呼吸が起きるようになってしまった。
ひどい時は運転も出来ず、職場の人に代行のように私の車と共に送ってもらった。
さすがに迷惑だと思ったので、お休みをいただいている。
でも夜のスナックは、通えていた。
これが自分でも不思議なところ。
もちろん、アイコさんからは、
『昼は来れないのに、夜は来れるんだね。サイテ〜』
と言われた。
私は忖度しているわけではないと、自分では思っていたが、体が忖度してたのだろうか…
昼間1日働くよりも、夜1日働いた方が倍なので、心とは裏腹に体が忖度してたのかもしれない。
自分ではわからないけれど。
学校帰りに、私が家にいて
『おかえり』
と言うと子供たちは喜ぶ。
もうこのままでいいかも…
なんて思ってしまった。
けどそんなわけにはいかない。
早く元気にならないと。
と、思えば思うほど、私の体調は悪化した。
医者嫌いな私は、医者へ行くのを渋ったが、
ナナに説得され、医者へ行くこととなったのだが…
ナナが連れて行ってくれたのは精神科
私への診断は
“適応障害”
だった。
薬はもらったが、
薬を飲んでも改善の兆しは見えなかった。
ユウには私の事は伝えないでもらっている。
余計な心配をかけたくなかった。
ユウと同じ症状だと思ったので、フラッシュバックさせたくなくて、言わないでほしいと私が言ったのだ。
ユウとは、ずっと会ってない。
連絡はたまにするものの、
ユウからの連絡は良くなったり、悪くなったり、体調は気まぐれだった。
会う約束をすると、約束の日に体調が悪いと無理をさせてしまうので、会う約束はしなかった。
ナナもユウと連絡を取るまで仲は回復したが、まだ会ってないらしい。
でも次は、年明けにまたみんなで集まる予定を立てていたので、その時のお楽しみだねと話していた。
ヒロとは、私がお休みしているのでたくさん会えていた。
ヒロの存在が、私の体調を良くしてしたと言っても過言ではない。
12月最初の土曜日。
子供たちのクリスマスプレゼントを買いに、ヒロと出かけた。
子供たちへのサンタさんの役目を終え、
ヒロと2人でランチをし、
私たちもお互いにクリスマスプレゼントを買いにいこうと、街をウロウロしていた。
この時期に、街を歩いているのはカップルばかりだ。
ヒロの同級生に会ったりしないか、正直言うと私はビクビクしていた。
『そーいえばユウさんのいるカフェってこの近くだよね?行ってみる?』
ヒロはまだユウに直接会ったことはない。
『よく覚えてたね!行ってみよっか!』
ようやくヒロとユウがご対面だと思っていたが、
お店に行くと、ユウはお休みだった。
この時、ユウを驚かせようと思って連絡はせずにお店に向かった。
お店に行ったんだよーと、後で連絡をしようと思っていた。
なぜ、この時に連絡をしなかったのか、
今でも後悔でいっぱいだ。
12月2週目の土曜日。
長女の練習試合を、ナナとネネが見に来た。
先月の誕生日に会えなかったから、今年のクリスマスは、ユウと、ナナとネネと、家でクリスマスパーティーをしようと話した。
『ねぇ、ヒロくんも呼べば?』
と。ナナの一言。
『サンタのオジサン役やってもらえばいいじゃん!』
『ナイスだけど、誰よりもオジサンじゃないんだけどねぇ…』
『大丈夫、大丈夫!コスプレすればオジサンだよ(笑)』
ヒロを呼んで紹介すると言うより、
サンタさんで呼んだ方が自然かもしれないよ!
というナナの助言をヒロにも話した。
ヒロはノリノリで、
『じゃあ来週はサンタのコスプレ探しに行こうよ!』
と、張り切っていた。
ユウにもクリスマスはあけておいてー!と連絡を入れ、待ち遠しいクリスマスを楽しみにしていた。
薬が効いてきているのか、
それとも私が穏やかな時間を過ごしたおかげか、
半月も昼の仕事をお休みしていると、体調も回復してきていた気がした。
『来週から出勤します』
と連絡を入れ、
もう大丈夫だ。頑張ろう!と気合を入れた。
♪いちばんの
喜びを
あなたといつも
分けれるように
ロウソクに
日を灯して
2人だけで祈る
メリークリスマス
楽しみすぎる。
来週から仕事も復帰予定なので、
次の土曜日は美容院の予約をした。
12月3週目の土曜日。
私は美容室にいた。
髪を切り、プリンだった髪の毛を染める。
“可愛くなったかー?”
ヒロからラインがくる。
“いま覚醒中“
と、髪を染めている最中の画像を送る。
“終わったら迎えに行く”
早くヒロに会いたかった。
カラーも終わり、
あとは髪を乾かして終わりと言う時に
私のスマホが鳴る。
『ごめんなさい、ちょっと電話出てもいいですか?』
着信がナナからだったので、
美容室だから後でかけ直すとだけ言おうと思って電話にでた。
『梨花。よく聞いて。』
珍しくナナの声のトーンが低かった。
『落ち着いて聞いてね。
ユウが死んだ。』
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