第15話 愛

『お前ら絶対にそこのラブホ行けよ!結構いいラブホだぞ!絶対行けよ!!』


川辺さんは力説しながら、先に帰っていった。


『川辺さんは行ったことあるんだね(笑)』

とめちゃくちゃ笑った。







帰ろうか、と車に向かう。


スナックのすぐ近くなので、誰かに見られない様に手も繋げないし、

アフター帰りのふりをして歩かなければ行けない。





駐車場に入り、車がある6階までヒロが送ってくれる。

いつもの流れだ。


6階に着くと、代行を呼ぼうとする私のスマホを取り上げ、いきなりキスをされた。


ヒロとの初めてのキスだった。


『あーあ。ついにやっちゃったね。』

意地悪そうに笑うヒロに、私からまたキスをした。


『そこ行っちゃう?俺もうガマンできないんだけど(笑)』


『やだよ、川辺さん行きつけのラブホなんて(笑)』


でももう、私たちは後戻りできなかった。










雪が降りそうなくらい寒い12月。

この時期のテーマソング(私流)

LOVER SOULが頭を流れる。

ヒロと出会って、ジュディマリ熱が再燃してからというもの、何でもジュディマリの曲に結びつけてしまう。

元々音楽好きなので、いろんな出来事にテーマソングをつける癖がある。

失恋や辛い恋の時には、加藤ミリヤの曲ばかり聞いていた。






♪あなたと2人で

このまま消えてしまおう

今あなたの体に溶けて

ひとつに重なろう

ただあなたの温もりを

肌で感じてる夜明け






『って感じだね!』


『わかる!俺もそう思った(笑)』


ヒロが愛しすぎて、こんな感情は初めてだった。

たくさん恋をしてきたつもりだったけど、

何かはわからないけど、

今までと何かが違う。



顔がいいからかなぁ。

背が高いからかなぁ。

若いからかなぁ。

そんな薄っぺらいものではなく、

ヒロから溢れ出る愛情に

私が溺れているんだ。








さすがに朝帰りは怒られるかな?

と、

ヒロの温かさにドキドキしながら、

ばーちゃんにメールを送った。


“飲みに行くので朝に帰ります。

ごめんなさい。”

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