『危機一髪の女』(1982年/火曜サスペンス劇場)


監督 小谷承靖

脚本 池田一朗

出演 桜田淳子、佐藤浩市、山下真司、北公次



 母の死を機に田舎から都会へ出てきた英子は、ひょんなことから連続爆破事件の犯人に命を狙われる。


 ヒロインと犯人のチェイスを中心に展開するアクション寄りのサスペンス。

 犯人のめんがすぐに割れるので、ミステリー要素が薄いのかと思いきや、後半で意外な黒幕が登場し、ちょっと驚く。


 ヒロインは1980年代前半のナウでヤングな若者像からはズレた性格で、かなりのドジっ子。事あるごとにコンタクトを落とすのが持ちネタ。

 このドジっ子設定のせいで、警察に信じてもらえず、危機に陥ったり、逆に乗り切ったりするのが面白い。演じる桜田淳子のコメディエンヌぶりもキュート。

 相手役は若すぎる佐藤浩市で、まだデビュー2年目という初々しさ。そんなふたりのラブコメも楽しめる。


 印象的なのは計2回ある爆破シーンで、大規模な爆発をそのまま見せるタイプではなく、細かい描写を積み重ねることで迫力のあるシークエンスを作り上げている。特に冒頭の警察署爆破シーンで、被害者が爆風を浴びるカットはなかなかのインパクト。


 本作はどちらかといえば、コミカルなテイストなので、火サスのエンディング曲「聖母マドンナたちのララバイ」は合うのかな? と気になったが、流れ始めると作品をビシッとシメて、カタルシスを与えてくれるのだから、あの曲の力はやっぱ凄いなと改めて。





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