第5話 私、結構才能あるかも?

 最初はカニ歩きでスキー場の斜面を横向きで登る練習。

正直言って地味というか、地道でそれなりに運動不足も祟って思ったよりも疲れる。

 私はいつもより相当重い足どりで五メートルほど登った。


「よし!オッケー!そこからゆっくり滑っておいで〜」


「ゆっくり…滑る」


 スキー板を斜面の下に向かって動かす。

すると徐々に真っ直ぐになったスキーの板が雪の上を滑り始める

…がだんだん速度が速くなって私はパニックになる。


「———きゃああああー!!止めてええええ!」


「柚ちゃん!スキーの板をハの字にしてみて!」


 佳代子ちゃんに言われた通りにスキー板を八の字にする。するとみるみると速度が落ちていく。


「すごいよ柚ちゃん!もうボーゲンできちゃった!意外とセンスあるかもね?」


「え?これってすごいの!?」


「スキー初日の十数分でボーゲンできる人は結構少ないんじゃないかな〜私も初めて滑った日にはできなかったし」


「…それでも頑張ってインターハイまで行ける佳代子ちゃんも私は十分すごいと思うよ?私ならきっとどこかで挫折しちゃうもん」


「柚ちゃんありがとおおぉ!なんか十数年分の苦しみ全部チャラになった気分!」


「そう?なんかこっちも嬉しいや」


「よし、じゃあリフト行ってみようー!二人乗りだから安心して!」


「二人乗り…か」


 やっぱり、佳代子ちゃんはすごいや。


 そんな感じで私は緩やかだけど順調にスキーの腕が上達していった。

スキーの腕よりもリフトに乗る瞬間に太ももの裏がぶつかって痛いのが難点だった。


◇ ◇ ◇


 そして時刻はあっという間にお昼になった。今日のお昼はスキー場にあるペンションの食堂のカレー。甘口でご飯も米所だからかすごい甘味があって美味しくてペロリと食べれちゃう感じ。


 食べてる時佳代子ちゃんが教えてくれたけど、どうやらここのカレーはピーナツバターが隠し味で入っているらしい。

 カレーにピーナツバター!?って思ったけど通りでまろやかで優しくて美味しいわけだ、東京に帰ったらお母さんに言ってみよう。


「柚ちゃん〜よければあとで温泉行かない?」


「え!温泉!?行く!!!」


「決まりだね!よーし、じゃあ午後も頑張っていこう!」


「「おー!!!」」

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