【なんでも解決団】依頼その1:『友達を助けて』

僕は、エリアαのα高等学校に通う高校生『常田誠つねだまこと』。


最近僕はある悩みを抱えている。それは、いじめだ。


学生ならばまず間違いなく誰もが知る事象だ。


まだ社会に出ていないモラルが育つ前の人間である学生間では社会よりも目立って起こりやすい。


大人になったあと、意外と被害者はもちろん加害者ですら、笑い話としてあのときいじめられていたいじめていたと話す人物も居るとかいないとか。


そんないじめだが、まず僕は当事者ではない。


被害者でも加害者でもなく第三者だ。


関係しているのは僕の友人だ。


名は『加藤 翔太』、物静かなノッポくんと言えば分かりやすいだろうか?


物静かな上に成績優秀、性格は温厚、顔もそこまで悪くないので密かに女子人気もある。


何より、親がお金持ち。


そのため、基本お金には困らない。が、本人の性格の良さもありそれをひけらかすことは決してない。


これだけですでに人望があることが他人でも分かるのではないだろうか?


僕はたまたま席が高校一年の頃から隣だったこと、二年生になっても同じクラスで同じ授業を何個か取っていたことから昼食を共にし、一緒に帰るほどの仲になっていた。


だが、そんな彼は………いや、そんな彼だから狙われたのだろうか?彼は、スクールカーストの上位層からいじめの標的にされた。


スクールカースト上位のグループは男3女2の五人組、その内の男一人、名を『佐藤 亮太』がリーダー格である。


始めはその佐藤が、翔太くんと話している時、ごく自然な流れで会話の終わりにお金をせびった。


昼飯代無いからくれないか?みたいな感じだったと思う、翔太くんはかなり優しいので、二つ返事で彼らにお金を渡した。


そこから、カモだと思われたのだろう、放課後になったら今度は同じように佐藤と会話をする翔太くんが、お昼に渡したお金よりもさらに多くのお金を取られているところを見てしまった。


財布と同じで心に余裕があるのだろう、翔太くんはお金を笑って出す。


その日から、度々佐藤は金魚のフン達を引き連れては、隙を見て翔太くんを連れ出した。


休み時間はほとんど翔太くんは連れて行かれてしまっていた。


休み時間が終わるまでずっと翔太くんは彼らに拘束されてしまっていた。


僕は何度も翔太くんに訴えた、「絶対に先生達に報告した方が良い………と。」


しかし翔太くんはバレていないとでも思っているのだろうか、何の事だい?と誤魔化してしまう。


これではいけないと僕は担任にこのことを内密に報告した。


だけど担任は全くと言っていいほど聞き入れず、さらに上の生活指導や主任の教師にも相談をするが、翔太くんに限ってまさかと全く相手にしない。


業を煮やした僕は、自分自身で友達の翔太くんを助けるしかないと、方法を考えた。


だが、無理だ。何も出来ない。


そもそも佐藤は運動神経万能のめちゃくちゃ動ける男子、それに着いてる金魚のフン達も、体育ではサボっているが、たまに街中で喧嘩を見掛ける程だから、ど素人の自分じゃ叶わないだろう。


友達は、これを相談しても冗談だろと言ってまともに相手をしてくれない。


あの教師クソ共と一緒だ。


こうして、頭を悩ませながら帰路に着いていた時、狭い道路をそこそこのスピードで走るトラックが、何かチラシをばら撒きながら走って来ていた。


僕はそれを手に取り、読んでみる。


『【☆あなたのお悩み解決します☆】何かにお悩みのそこのあなた!!私達なんでも解決団、略してNなんでもKかいけつ団がなんでもお手伝いさせていただきます。お部屋のお掃除、家屋の修理、お買い物の付き添いなんでもござれ!※家族や友人、その他第三者への相談何かもお受けしています。お悩みがありましたらこの電話番号へ→〇〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇』


………怪しすぎる、胡散臭いし依頼料も設定無し。


事務所なども無くあるのは電話番号一つだけ。


提携している会社とかもないし、どんな人材がどれだけいるのかなども書いてない。


書かれているのは、なんでもやりますの一点張り。


ファーストコンタクトをまるで考えていない、学生でも分かる経営ど素人のお遊び感覚なチラシだ。


だが、何故か僕はこれに妙に惹かれた。


惹かれてしまった。


他に頼るツテも無かった僕は、藁にもすがる思いで電話を掛けてしまった。


掛けた番号から聞こえる声は、胡散臭さからはまるで考えられないような、クールな女性の声だった。


『はい、こちらなんでも解決団。お悩み事を、お伺い致します。』






















後日、僕は休日に商店街のカフェで待ち合わせさせられた。


………個室でもなんでもないただのカフェで、依頼内容ペチャクチャ喋らせるのか………?


だが、このなんでも解決団とやらが解決してくれないことには、いよいよ手段が無くなってしまう。


翔太くんを助ける方法が他に無いかと少ない脳みそで試行錯誤していた時、カフェの扉を開けるカランコロンという音が鳴る。


「やぁマスター!元気かい?とりあえず、ワタシはいつものアレを頼むよぉ!!」


「ガラク様、ここに我々が訪れたのは初めてですが……?」


「そうだね!!けどカフェに来ると言いたくなるよね!!」


「悪いねマスター!気にしないで。」


先頭を柄の悪そうな濃いサングラスを掛け、和風のアロハシャツを来た金髪の男が歩き、その後ろをカジュアルな白シャツの上に落語家が着るような深緑の羽織を着た黒い長髪の男、そしてそんな2人とは全く相性が合わなそうな綺麗な茶色いブロンドの髪に黒スーツを全身に纏わせ四角いメガネを掛けたThe仕事ができる女の三人組が入ってくる。


まさか、じゃないよな?


「え~と、入って左奥の角のテーブル席っと……お、君かな~?」


コイツらだった………。


「へぇ、君がぁ、ねぇ?」


黒長髪の男は、何がそんなに気になるのか僕を舐め回すかのようにジロジロと見てくる。


「お待たせしてしまい申し訳ございません、この度依頼をお受けさせていただきましたなんでも解決団、略してNK団の情報処理担当、『片井菫かたいすみれ』と申します、以後お見知り置きを。」


シゴデキお姉さんは本当に仕事が出来るようで、初手丁寧なご挨拶をしてくれた。


思わず僕も自己紹介をする。


「あ、いえいえ、そんなに待ってないので。α高等学校に通ってる高校生の常田 誠です。本日はよろしくお願いいたします。」


挨拶を終えると、グラサンを掛けたほぼヤクザな男が割って入る。


「はいはい、すーちゃんはいつも固い固い。こういうのは気楽にね、とりあえずみんな座っちゃお。ほらほら、カフェで立って話すとか大目立ちだよ。」


そう促され、全員着席する。


そして、自己紹介をされる。


「さて、待たせて申し訳ない、私はNK団の団長を務めてます、天王寺 万てんのうじ よろずです。よろしく。」


「ガラクだよ~☆何か暗いけどお腹痛い~?もしかして便秘~?」


「ガラク様、怯えているのでその辺で。」


まともな女性、服装は怪しく言動はマトモよりなヤクザ、隣に座ってきて名前しか言わずにめっちゃ顔を近くに寄せて便秘か聞いてくる明らかにヤバい男性、不味いな?胡散臭さが青天井だ。


ひとまず、早く終わらせたいのですぐ本題に移った。


僕の友達である翔太くんがスクールカースト上位層の奴らにいじめられていること、学校は誰一人相談に乗らないこと、自分一人では何も解決できないこと、全て伝えた。


こちらの話を終えると、団長である万は少し間を空けて返答してくれた。


「ふむ、分かりました。何とかしてみせましょう。」


「………!!本当ですか!?」


思わず聞き返す僕、今まで話してきた相手は皆聞く耳すら持たなかったからこれは大きな進歩と言える。


胡散臭さはあるが、何もしてくれない大人達よりはよっぽどマシだ。


「ただし、それに伴って色々とあなたにも協力していただきたことがあるので、お願いしても良いですか?」


「もちろんです!ぜひ!」






















僕はその日から、NK団の団員三人と共にいじめの証拠写真を集めた。


お金のカツアゲ現場、翔太くんが放課後にスクールカースト上位層共に路地裏に連れて行かれる現場、翔太くんの家に前でたむろする佐藤達の写真………その他多くの現場を抑えた写真を僕が学校内で、NK団が学校外で。


万曰く、法外な手段を使っても良いが、依頼料が高いことと、それじゃスカッとせず終わるとかで証拠を集めに集めて、佐藤達を一気に貶めるのが一番簡単且つダメージが大きいだろうとのこと。


この意見には僕も同意のため喜んで協力した。


スクールカースト上位層の奴らだからこそ、大きなミスを明かされた時のダメージ、学生内で言う社会的ダメージはデカイ。


これを教師陣の目の前、果ては教室中、集会の時なんかに見せびらかすのも良いだろう。


こうして僕は約1ヶ月に渡り、証拠を集め続けた。


きっといじめに苦しんでいるのだろう、翔太くんは目に見えて疲れた顔をしていて、食欲も日に日に落ちてきている。


僕が今……………助けてあげるからね!!!


そして翔太くん解放の決行日、僕はNK団の指示で人気の無い放課後の空き教室に翔太くんと、佐藤率いるスクールカースト上位層を呼び出した。


証拠となるデータが入ったカメラ、そして制裁用にと簡単な道具を入れたカバンを持って僕は空き教室に向かう。


そして、呼び出した彼らも意外とあっさり着いてきたのだ。


馬鹿め、これがオマエらの最後になることも知らずに。


呼んでから僕は、電話を掛けてNK団に全員揃ったことを報告する。


しばらくして、万さんと菫さん、あと何故かガラクさんもその空き教室にやって来ていた。


事前に彼らが来ることは教師陣には伝えていたため不法侵入ではないので心配無用だ。


翔太くんと佐藤一派は驚いた顔をしていた、まあそりゃぁこんな変な三人がいきなり学校に現れたら驚くよな………いや菫さんは変じゃないけどほか二人が異常なせいで目立つだけで。


「さてと、お待たせしました。ようやく証拠も揃ったんで、なるはやで終わらせちゃいましょう。」


到着した万さんは、辺りを見回し全員が揃っていることを確認すると、そう宣言し、菫さんに合図する。


合図を受けた菫さんは、ガラクさんに促し、ガラクさんが持つリュックから大きい茶封筒を取り出す。


「まず、加藤くん、ここまでよく耐えてくれた。辛かったろう、心中お察しするよ。もう大丈夫だ。」


今回の依頼の中心人物、被害者である翔太くんに万さんは労いの言葉を掛ける。


翔太くんは万さんを知らないのにも関わらず、なんとなく状況察したのか会釈する。さすがは優秀な生徒の翔太くんだ、空気も読めるらしい。


「長いようで短かったこの1ヶ月弱、証拠を集めに集めて何とかこの場で追い詰める程の証拠が揃ったので、今ここでオレ達がそれをお見せいたします。そして選んでください、自主的に退学するか、報告されて然るべき機関に裁かれるか、ね。」


そうすると、万さんは1歩、2歩と裁かれるべき人物へと歩いて行く。


そして、目の前に立ち、その名前を呼ぶ。






「観念しろ、常田 誠。お前はもう終わりだよ。」






















「友達を、助けて欲しいんです!!!」


まさにスクールカースト上位層とでも言うべき陽なオーラを発するこの男子高校生、名を『佐藤 亮太』と言う。


彼はどうやら、友達がストーカーに悩まされ日に日に疲労してきているのを見ていられないとかでオレらに依頼をしに来た。


その友達とは『加藤 翔太』、中学からの同級生で同じサッカー部出身とのこと。


高校に上がってからも変わらず付き合いは多く、真面目であまり遊びはせずとも長い付き合いのある友達らしい。


しかし、高校に上がって、特に二年目からは目に見えてやつれてきているとのことだ。


本人に直接聞いてみたところ、何者かは分かり兼ねるが休み時間、酷ければ放課後家に着くまでずっと何者かが自分をストーキングしているとのことだ。


姿は見えないが、とにかく視線を感じ、酷い時はスマホのシャッター音が聞こえることもあるとか。


最初は無視してれば良いかとも思ったが、日に日に、常に視線を受け、監視されているような生活環境はストレスが蓄積し、学業、部活動に大きく支障をきたし、夜も寝不足が続いているとの事だ。


やつれていく彼を見兼ねた佐藤は、休み時間にとにかく自分とよく居るカースト上位のグループと共に行動させ、登下校もとにかく気を紛らわせようと共に行動していたと言う。


しかし、やはり蓄積ストレスは相当なものらしく、一人になった途端に食欲は落ち、数時間には一度寝ては起きてを繰り返してしまうらしい。


そこで佐藤は元凶を排除するために、コツコツお金を加藤と共に集め、我々に依頼するお金を貯めてここに来たとか。


つまり、佐藤の依頼は『ストーカーをする人物の素性を明らかにして欲しいこと、ストーカーを加藤から引き剥がして欲しいこと』だ。


「了解しました、引き受けましょう。」


とりあえず、加藤周りの情報を集めまずそれらしい人物が居るかどうか、そしてストーカーならば加藤がとにかく見える位置を行動するはず、その場所を不自然に行動する何者かをこちらがさらに見つけ出す。


話を聞く限りでは、学校内でも視線があることや放課後すぐに帰っても着け回されることから、教師ではないだろうと判断。


加藤の帰路に制服で且つ加藤を観察できるポジションに不自然にいる人物を探せば良いのだ。






1週間程して、それっぽい人物が中々見つけられなくて困ったが、この時期にまたしても高校生から依頼が入った。


しかも、同じα高等学校の生徒から。


依頼を受け、その高校生をカフェに呼び出し依頼を聞いた。


そうしたら、驚いた、依頼主であるから加藤 翔太の名前が出るのだから。


そこで依頼を聞き、彼女の姿を見て納得がいった。


彼女はカメラを持っていた、それも一眼レフの遠くが見える望遠タイプを。


うっかりしていた、我々は肉眼から加藤を見れる距離で探していた。


だが見つからなかった、当然だ、肉眼ではなくレンズ越しに観察しているのだから。


今この依頼をしている彼女、常田こそ今回の犯人だと確信したオレらは、このまま常田を泳がせ、常田がどこでどのように加藤を観察していたのかを証拠集めと称して聞き出すことに成功した。


そうして、常田は一人佐藤達を追い詰めるつもりの証拠を集め、オレらはそれに協力するフリをしながら常田のストーカーの証拠を集めた。


そして一ヶ月達、十分過ぎるほどに証拠が集まったオレらは、常田、加藤、佐藤全員に連絡を取り、一つの場所に集まり答え合わせをすることを決めた。






学校の1空き教室に全員を集めると、全員がキッチリ集合していた。


「さてと、お待たせしました。ようやく証拠も揃ったんで、なるはやで終わらせちゃいましょう。」


1ヶ月も待たせてしまった加藤くん、すでにストレスで目に隈ができている。可哀想に。


「まず、加藤くん、ここまでよく耐えてくれた。辛かったろう、心中お察しするよ。もう大丈夫だ。」


頑張った加藤くんを労い、思わず言葉を掛ける。


相当辛かったのだろう、会釈してくれた加藤くんは、涙目になっていた。


「長いようで短かったこの1ヶ月弱、証拠を集めに集めて何とかこの場で追い詰める程の証拠が揃ったので、今ここでオレ達がそれをお見せいたします。そして選んでください、自主的に退学するか、報告されて然るべき機関に裁かれるか、ね。」


今から裁かれるのは誰なのか、全く分かっていない、自分とは思いもしていない犯人は、誰もが暗い目をしている中一人断罪できるんだという喜びで目を輝かせていた。


もう、終わらせよう。


オレは1歩、2歩と常田に近付き、手を出せば胸ぐらが掴める程の距離まで行き宣言する。


「観念しろ、常田 誠。お前はもう終わりだよ。」





















「は………なんで、なんで僕なんだ!?」


今回の犯人は、ストーカーの中でも特に厄介、なタイプだ。


己は加藤くんの友達、常に隣に居る親友とも呼べる間柄、登校も下校も常に一緒、自分が視界に入れていることでそう思い込んでいるのだ。


実際は、高校一年生の時に隣の席で喋ったことがあるくらい、常田はおそらくそれだけで友達だと思い込んだんだろう、しかしコミュニケーション能力が備わっていない彼女は授業での勉強関連の会話以外は実際に会話は交わさず、ただ加藤くんを着けて回った。


誰かと昼食を食べる彼、誰かと談笑をする彼、誰かと共に部活をし、帰る彼。


その隣にいるのは全て自分だと、本気でそう思い込んでいるのだ。


「こいつらが金をせびって翔太くんを苦しめてるんでしょ!?コイツらが好き勝手連れ回すから、翔太くんがやつれてるんでしょ!?!?」


「目を覚ませ常田 誠、お前は加藤くんとは縁もゆかりも無いモブ、お前は加藤くんという人生においては、存在してもしなくても変わらない、ただの学生Bなんだよ!!!」


ヒステリックに叫ばれ思わず現実を突き付けてしまった。


まあゆっくり告げてやるよりかはこっちの方がスカッとするか……?


「……………………やっぱり、あんたらもあのクソ共と一緒だ。僕の話もろくに聞かないで翔太くんを助けない、僕の言うことを聞かない!」


すると、いつの間に持ちこんでいたのか、彼女はカメラを入れていたバックから包丁を取り出す。


「…………ただ裁かれるだけじゃつまんないと思ってた。」


「やめろ、常田。」


「だから、社会的に絶望させたあとで、さらに身体も使い物にならないようにしてより絶望させてやろうと思ってた。」


「やめろ。」


「けど、もういいや。めんどくさい、誰もろくに一人の学生の話も聞かないで、あんたらクソども全員死んじゃえば良いんだよ!!!」


そうしてヒステリーに叫び包丁を構え駆け出す常田。


そこに、ガラクが足を掛ける。


彼女は見事に大コケ、包丁も無事床に落ち、ガラクが拾い上げる。


「ガラクはヒステリーな女の子も好きだけど、ちょっともったいないなぁ。殺意は内に秘める方が美しいのに…………。」


ガラクは無視し、菫に指示し、常田を拘束させる。


警察を呼び、オレらは常田を引き渡した。


















警察から情報を仕入れ、常田のその後を聞いた。


常田は、精神鑑定を受け統合失調症と判断され矯正施設への入院が決まったらしい。


極度な妄想が発症したらしく、高校一年時、昔から陰気だった彼女には友達が出来なかったが、唯一隣の席にいた加藤くんには話しかけられ、それがきっかけで友達と思い込んだそう。


そこからはオレたちが調べた通りだ。


それらを加藤くんと佐藤くんに伝えると、彼らはようやく肩の荷が降りたかのようにほっと胸を撫で下ろした。


依頼料として、彼らが集めに集めて30万程用意してくれた。しかし、学生にこれは痛手だろうとさすがに半額で手を打った。


これで今日は美味い飯でも食おうか。




「しかしまぁ、怖い事件だったね~、あれでまだ高校生なんだもん。自然と凶器持ち歩けるαはやっぱおかしいねぇ。」


「悪い言い方をすれば平和ボケし過ぎではありますが、良い言い方をすればそれが珍しいと思われる程温厚なエリアなのでしょう。」


「まあ何にせよ、面白いネタができたってもんよ。それじゃ、飯食ったらまた移動だな。」


「えぇ、歩きたくないぃ。おんぶ~、だっこ~、お姫様抱っこも可~。」


こうしてオレ達NK団は、今日もまた誰かの何かを解決する。


己の自尊心を、満たすため、世界で起こる色んな不思議を見つけるため。

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