第40話 準備が良すぎる幼馴染
あれから時間が経ち――なぜか解散にはならなかった。
藍も都も泊るつもりらしい。
……マジか。
家は俺一人暮らしで親はいないけど、女子二人と一緒とか……いや、子供の頃に何度かお泊りはあった。けど、あの時とは状況が違う。
二人とも立派に成長しているし、意識もしてしまうのだ。
妙に緊張していると藍も都も自分の家から生活に必要なものや寝間着を持ってきた。おいおい、俺の家に住む気か!?
「ふぅ、荷物をたくさん持ってきたから大変だった」
「あ、ああ……藍。凄い量だったな。まるで俺の家に住むみたいな」
「みたいな、じゃなくて……住むけど」
「――はい?」
思考が一瞬止まった俺。
藍が俺の家に住む……?
その発想はなかった。
しかも、それは俺にとっては嬉しすぎることだ。
「ほら、最近物騒だし……赤くんと一緒の方が安心だから」
「そ、そう言ってくれるのは嬉しいな」
荷物を整理しながら藍は照れ臭そうにしていた。
一方の都もかなりの荷物だ。
海外留学で使っていたらしきトロリーバッグを引いてきた。
「都、お前も俺の家に住むのか?」
「はい。私は
「本当かよ……」
妙に演技っぽかったけど、涙を見せられるとなぁ……追及が難しいぞ。まあ、今日一日くらいならいいか。明日以降は帰ってもらう。それでいい。
「本当です!」
「分かった分かった。好きにしてくれ」
「はいっ、ありがとうございます。兄さん」
こうなったら仕方ない。
俺も覚悟を決めるしかないっ。
それに寝る時は別々だ。使っていない部屋を貸して、そっちで寝てもらう。そうすれば緊張なんてない……はずだ。
「じゃあ、部屋を案内する」
俺がそう提案すると、藍も都もキョトンとしていた。……え?
「あたしは赤くんの部屋で」
「私も兄さんの部屋で」
な、なんだってー!?
まさかの二人とも俺の部屋をご所望かっ。
そりゃ嬉しいけど、いろいろと問題がある気が……!
「ま、待て。一緒に寝るってマズいだろ」
俺が二人を止めると、藍は「今更~? 子供の頃はよくお泊りしたでしょ」と言いながらも顔を赤くして床になにか落とした。
ん……なんだこの正方形の包。
輪ゴムみたいな形が盛り上がっているが……はてはて。
――って、これはまさか!!
「兄さん、藍ちゃんの言う通りです。綾乃ちゃんも含めて四人で寝たこともあるじゃないですか」
それは子供の頃の話しだ! とツッコミを入れようとしたが、都がポケットから何か落とした。
なんだ、この0.01と書かれたものは……?
って、ちょい待て!!
藍も都も準備良すぎだろ……!!
やる気満々かよッ!!
藍も都も同じブツを落としていた。俺はこの状況にただただ固まるしかなく、頭も真っ白だった。
……これはチャンスなのか……?
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