第36話 守ると決めた
帰宅し、部屋で寝っ転がる俺。
疲労のせいか
気づけば眠っていた……。
「……Zzz」
ハッと目を覚ますと朝の四時になっていた。あまりに疲れていて晩飯を食うのも忘れて寝ていたようだ。
まずはシャワーを浴び体をスッキリさせた。それから朝食を食べた。
なんとなくスマホを覗くとメッセージ通知がいくつも入っていた。……やっぱり、都からたくさん来てる。膨大な量なので返しきれないぞ、これは。
先に藍の方を見ておこう。
藍:おはよー。今日もいい天気だね!
シンプルにこれだけ。
どうやら家へ来るようだ。
俺は制服に着替え、朝支度を済ませた。玄関を出ると、そこには制服姿の藍の姿があった。
「おはよう、藍」
「赤くん……」
なんだか藍は浮かない顔をしていた。
「どうした?」
「あのね……ごめんね……」
「な、なんだよ。急に謝って」
具合の悪そうな藍は、こちらに歩み寄ってくる。なんだ、なにが……? え?
藍の後ろには見覚えのある男がいた。
「どうも、紫藤さん」
「あ……ああ、この前、家を訪ねてきた刑事さん」
そう、この前の殺人事件で世話になった人だ。どうしてこんな朝に。
「そうです。今日はちょっとお話がありましてねえ」
「話って、今更なんです? もう事件のことは散々話したじゃないですか」
「いや~、それがですねぇ……」
刑事さんは、いきなり警棒を取り出してそれで俺を殴ってきた。地面に叩きつけられ、俺は意識を失いそうになった。
「……ぐぁっ!?」
な、なんだ……どうして殴られた?
「赤くん!!」
藍の叫ぶ声が聞こえる。
まさか、藍の表情が曇っていたのは……この刑事に脅されていたのか!
「な、何者だ……普通、刑事がこんなことしないだろ!」
「そうさ。俺は刑事ではない。ニセ刑事さ」
「なに!?」
地面で悶えながら俺は衝撃な事実を聞かされ、ショックを受けた。この男がニセ刑事だって……?
「俺は茂木。
嘘だろ……!
茂木に兄がいたのかよ。
「……ふ、復讐か」
「弟に頼まれてな。お前の家の住所を調べ、様子を伺っていた。今日がチャンスだと思ったんだよ」
背中を踏まれ、俺は息ができなくなった。
くそ、くそぉ……!
あの時、この男が家に来た時に怪しいとは思ったんだ。気づいていれば……!
「こんなことをして、お前も捕まるぞ!」
「黙れ!」
ゲシゲシと蹴られ、俺は耐えるしかなかった。
「やめて! 赤くんに酷いことしないで!」
「黙れ、女! お前はあとでたっぷり犯してやるよ。美人で可愛いし、楽しめそうだ……」
くそ、茂木がクズなら兄貴もクズか……!
まさか悪夢が終わっていなかったなんて、完全に油断していた。
けど、だからといって俺はここで諦めるつもりはない。もう幾度となく、こんなトラブルを乗り越えてきたんだ。
藍を守るって決めたんだよ!!
「このおおおおおおォォォ!!」
気合で茂木兄の足を退けていく。
凄い力で押し戻されるけど、俺はそれでも足を踏ん張った。
「ば、馬鹿な!!」
「そんなヘナチョコキックで俺は折れんぞ!!」
ついにはタックルを決め、茂木兄を弾き飛ばした。ゴロゴロ転がっていく茂木兄は途中で体勢を整えて上手く受け身を取っていた。
「あっぶねぇな」
くそう、あれは柔道かなにかやっていたっぽいぞ。いやそれよりも藍を家の中へ!
「藍、俺の家に避難しろ!」
「でも」
「いいんだ。俺はこの茂木の兄貴をぶっ潰す!」
無理矢理、家の中へ押し込めた。
玄関前にたまたま置いてあったデッキブラシを手に持ち、俺は構えた。
「は、ははは! そんなデッキブラシで俺に勝つつもりか!」
「デッキブラシを舐めんなよ。それにな、お前みたいな悪党が現れることも想定して筋トレしていたんだ。以前よりは強いぞ」
「そうか! なら、てめぇを叩き潰してあの女をもらってやるよ」
ストレートパンチを放ち、向かってくる茂木兄。俺はデッキブラシを使うとみせかけ、七段のハシゴを手にして振り回した。
「くらえええええええええ!!」
「なッ!! ぐあああああああああああああああああ!!」
これで……!
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