第4話 幼馴染のえっちな写真

 スッキリして俺は冷静になれた。


 ……危なかった。

 マジで危なかった。


 あと少しで俺は性欲に負け、綾乃の条件を飲んでしまうところだった。あの写真は卑怯すぎる。けど屈することはなかった。


 そうだ、俺の答えは決まっている。



「……待たせたな、藍」

「じゃあ、綾乃ちゃんの家に行こっか」

「ああ、今日のことを話しに行く」


 公園を出てそのまま綾乃の家へ先回りした。

 十分ほど歩いて到着。

 俺の家からも五分ほどの距離だ。

 昔はよく遊びに来たものだが……いや、そんなことよりもチャイムを鳴らした。


 しばらくして綾乃の母親が現れた。


「はい~、どちら様でしょうか……って、赤くん」

「お久しぶりです、おばさん」

「あら、ずいぶんと久しぶりね。隣は藍ちゃんじゃない。二人ともどうしたの? 綾乃は?」


 俺は今日あったことを綾乃の母親に伝えた。もちろん、藍の証言つきで。二人で話せば、さすがに信じてもらえるだろう。



「――というわけなんです。綾乃はやりたい放題で……もう止められないんです」

「綾乃がそんなことを……」


 さすがの母親もビックリしていた。

 だがこれで綾乃にお灸をえられる。


 正直期待半分だが、綾乃の母親はかなり深刻な表情をしていた。それと怒りもにじみ出ていた。


「そろそろ綾乃が帰ってくるかもしれません。俺たちは行きます」

「そ、そうね。情報をありがとうね、赤くん。綾乃にはしっかり言っておくから。それと、反省するまではしばらくは学校に通わせないし、もしかしたら転校もさせるかもいしれないわ」


「分かりました。綾乃の為にもそうしてください」



 綾乃の気配を感じたので、俺たちは足早に立ち去った。

 あとは母親に任せ、しばらく様子見だ。


 急いで俺の家まで向かった。


「藍、今日はありがとう」

「ううん、いいの。赤くん、また……明日ね!」

「ああ、また」


 手を振って別れ、藍は自分の家へ戻っていった。彼女の家は歩いて三分の距離だから、心配はない。


 自宅に戻り、俺はそのまま自分の部屋へ。


 ベッドに身を預けてスマホを覗く。

 ……特に連絡はない。


 あるのは綾乃のえっちな写真だけだ。



『…………ムクムクッ!』



 しまった……写真を眺めていたら、下半身がエベレストのように膨張し、元気になってしまった。くそっ……今日はもう散々発散したというのに、体は興奮しっぱなしだ。


 綾乃の性格は最悪だが、幼馴染でずっと好きだった女子高生の裸とか、童帝・・の俺には刺激が強すぎた。



 綾乃……綾乃ぉ……。



(………………ウウッ)



 …………。



 ……なにしてんだ俺。



 なんでこんなクソブスで果てているんだ俺は。



 もういい、こんな写真は削除してや――いや、もったいないな。秘密のクラウドにアップロードして保存しておくか。


 満足したところで俺は、晩飯を食ったり風呂に入ったりした。自室に戻りベッドに身を預ければ一瞬で眠りに就いた。



 ……翌日、俺は自然に目が覚めた。



 今日から綾乃と会うことはなさそうだ。けど後悔はない。

 急いで仕度をして俺は家を飛び出た。


 外には制服姿の藍の姿があった。どうやら、俺を待っていたらしい。



「おはよ、赤くん」

「おはよう、藍。待っていたんだ」

「うん。一緒に登校してもいいよね?」

「もちろんだ。一緒に行こう」

「嬉しい! 赤くんと二人きりとか久しぶり」

「そうだったな」


 今までは綾乃と二人きりか、三人あるいは四人で登校していた。

 そういえば、もう一人の幼馴染は海外に行ったきりだ。戻ってくる気配はない。


 そんなことを考えながら歩いていると、藍が綾乃のことを教えてくれた。


「そういえばさ、綾乃ちゃん……」

「うん?」

「転校するってさ」

「マジ!?」

「綾乃ちゃん、同級生だけでなく学校中の複数の男子と関係をもっていたみたい。ていうかね、金銭的やり取りも発覚したの」


 おい、マジかよ……。

 どうやら、綾乃は自分の体を売って金を得ていたようだ。ついでに恋人作りもしていた――というのが真実のようだ。


 学校に到着し、そのまま教室へ。


 窓際の隅の席へ座る。隣は今まで綾乃だった。だが、不在だ。いや、もう転校するのだから……空席が正しいか。


 ぼうっと眺めていると、そこに藍が座った。


「藍……そこ」

「あたし、ここにしよっかな」

「俺の隣の席か」

「あとで先生を説得しておくからさ」

「まあいいか。そこはもう綾乃の席ではないからな」


 今日から俺の隣の席は、もうひとりの幼馴染・藍となった。

 極上のスマイルを俺に向けてくれる藍。不思議と胸が高鳴った。……あれ、藍の横顔、スゲェ可愛いな……。


 今まで俺の脳内は綾乃一色だったから気づかなかったけど、藍もスタイル抜群で……巨乳なんだよな。抱き心地の良さそうな肉付きをしている。

 おいしそうなフトモモは、太陽の光に反射して神々しい。


 そんな俺の視線に気づいたのか、藍はスカートをつまんでゆっくりと動かした。……おぉ。



「――なんてね。えっち」

「残念、あと少しだったのに」

「だ~め。そろそろホームルームはじまっちゃうし」

「それもそうか」



 だるい授業が始まっていく。

 けれど、隣の席が藍となった今……楽しいと感じた。もう綾乃のことは忘れよう。そうしよう。


 だが。



 スマホに通知が入った。



 こっそり覗くと……。




 綾乃:許さない





 ……!?

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