第7話、運命はその魂がふさわしい場所へと導く糸であり道である

ほら、嫌な予感、だんだん読めてきただろ?


だが、この喜劇の最期はポルカ。

「天国と地獄」が流れるまで止まらない。


フレンチ・カンカンが毀誉褒貶にあったように、確かその人物は世間様ってやつからはだいぶエキセントリックな人扱いだ。「大変著名なアニメ映画監督」作成のPVでの「イケメン」は、どっかに全力で世論ってやつがすっ飛ばしたらしい。


後で調べてわかった範囲でも随分と昔から有名人なだけあって、豊富な発言に調査資料、本人が記した自叙伝はある。てか、ありすぎる。手のつけようがないレベルだ。


しかし、ご本人の発言だけ年代で並べても初めからだいぶ変わった人物としか言えない、とわかった。


実際、俺が成人してからきちんと意識して該当人物「彼」を覚えていたのは歌ではなく、麻薬に不倫に初犯にしては重い執行猶予付き判決だった。


何せ俺は当時法学研究科の学生。

懸賞論文なんかで金を稼いだり、バイトしていたりしていたから論文ネタに飢えていた。


だからか公判の傍聴に過去最高の人数が集まったと他の学生が学食で話していたのを、覚えている。


その時は「この雨ん中、すげーな」ぐらいにしか思っていた。学校来るのすら「だりー」のに。どんだけ「好き」なんだよ。その「おじさん」。


学生時代。

あの時、ふと、見上げた学食のテレビ画面。


アスファルトの上にぽつんと打ち捨てられた、青いブレスレットが映っていたのが印象的だったことを思い出した。


まさか、俺がコメントした呟き含めてこんなエキセントリックな有名人ご本人様が、直接書いているとは思わない。


気狂いに刃物と思わず思った俺はファンではない一般人だろう。

止めろよ、周り。それが最優先事項だと思った。


しかしまた、随分とうちの教授と似たようなことを言っているというか、独特な言い回しな人がいるんだな。


まあ深夜のノリで教授だと思ってコメントしたら俺と1番縁が無さそうな人の呟きでした。

で、ご本尊様とやらが俺のコメントにコメント返しをしたのが、いきなりフォロワーが増えた原因、と。完全無視確定。


この時点でもう既に意味がわからない。


残酷なことに、ワルツは1人では踊れない。


まるで真夏の夜の夢のように寝ている間に瞼に薬が塗られたのか、ここから俺自身の意志に反して、何故か物語は続いていく。


望まぬ「悲劇」へ向かって。

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