第4話、恋は天候不明な4月から
4月6日
止まらないカウントダウン。幾つかあった事件の一つ。
ターニングポイント。残り15日。
そもそも、だ。
ショパンの失われるはずだった幻想即興曲が鳴り響く状況みたいに何故なってしまったのか。
俺が呟きアカウントを作ったのはそれなりに早かったと思う。作った理由なんかは覚えていない。確か何かのスマホゲームがしたかったから作ったか。
しかし、ユーザーネームは「名前のない誰か」。
俺は「景色」でしかない。
だからフォロワーなんていない。
もしネットリテラシーがー!って言うなら呟かなければいいし、まさか誰かが俺のコメントを見ているとかなんて考えてもいなかったってのが、本音だった。
そう、この「俺的大事件」の起点。このコメント時点では該当アカウントは知り合いの教授か、どうせ「どっかの誰か」だと思っていた。仮想世界なんて「目立ちたがり」しかいないんだし。
これが、ケチのつけ始めだとも思わずに。
相変わらず、クソッタレな一日が終わって日課のアプリ巡回中、ぼんやりと呟きを見ていた。が、しかし。
なんだかクソ怪しすぎるわけわからんフォロワーが10件もついてた。
は?なんで?今まで興味の違うフォロワーなんて0だぞ?
当たり前だが、本当に意味がわからなかったんだ。
新たなフォロワーのプロフィールを読むと、俺が相互フォローしたらお金配ってくれるんだと。
バカか。
それを信じるくらいなら、選挙の時だけ電話掛けてくる知り合いの方を信じる方がまだマシだ。いや、変わらないか。
よく考える。俺は変化を好まない。昨日も変わらない日常だ。
何も・・・なくはなかった。昨日深夜、呟きでコメント返したと不意に思い出した。
そう、思い当たることは昨日の教授と思わしきアカウントへのコメントしかないなと思った。そしてそれは半分当たりで半分外れ。
深夜に教授だと思ってコメントを返してしまったアカウントはどうやら教授ではなかったらしい。
いや、まるで幻想に惑わされたように。
本当にわからない。
でも、ほら、嫌な予感ってするだろ?
俺も嫌な予感がした。確認したくない。
よくよくというか、改めてコメントしたアカウントを見ると、フォロワーが24000を超えてる。
なんつうか、ショパンも苦笑いしかしないだろ、これ。
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