第10話

 [ところで。]

「はい。」

 [私は妄想の存在ですし、そもそもあなたのようなものですが、名前はどうしますか?]

「あぁ、名前...」

 そういえば、名前が無い。確かに、一々「君」とか呼ぶの面倒だな。でも名前か。

「そうですねぇ。あっ。名前じゃなくて、苗字ですけど。いいの思いつきました。」

 [苗字ですか。まぁ他人って設定ですからね。いいかもしれません。それで、どんな名前ですか?]

「黒いに名前の名で、黒名。これでどう?」

 [いいですね。なんだか親近感が湧きます。]

「それは、僕みたいってことでいいの?」

 [まぁ、大体そんな感じです。]

 なんだか煽りを含んでいる気がする。いや、幾ら他人の設定とはいえ僕だからな。絶対煽り含んでる。...まぁいっか。

「じゃあ、これからよろしくね。黒名さん。」

[はい、もちろん。]

そして、僕と『黒名』の生活が始まった。

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