第3話
今更話すことでは無いが、俺には恋人がいない。いたことはあるが、それもすぐに終わりを迎えてしまった。しかしそれは、恋と呼ぶには値しない程度の思いだったのだから仕方無い。昔から、友達としての「好き」と異性としての「好き」を勘違いしてはやめを繰り返してきた。また、目の保養というものがあるだろう。それを暫く見ていると恋と勘違いするなど、とにかくバカな少年だった。しかし俺は、ちゃんと恋をしてみたかった。愛を知りたかった。だから、よく分からないながら、付き合ったりもしてみた。しかし、感情は時間が経つにつれ薄れていくばかりだった。思えば、それは独占欲の一種だったのかもしれない。しかしそれを手に入れた瞬間、もうどうでも良くなってしまったのかもしれない。俺には恋など出来ないのか。それとも、恋というのは俺が思っている以上に難しいものなのか。俺には、恋とは何かが全く分からなかった。だから、恋人を作るのをやめた。しかし、一生作らない訳では無い。一応、理想の恋人像はある。しかしそれは、些かハードルの高いものだった。というより、都合が良すぎるものだった。果たしてそんな人はこの世にいるのだろうか。そうは思ったが、妥協して恋人となるほど失礼なことはする訳にもいかない。ならどうすべきか。その理想の人が現れた時、決して逃がさぬよう準備しておくしかないだろう。もちろんいるとは限らない。法に触れるようなことはしない。それを理解した上でやってみる。駄目ならそれはそれだ。まぁそれはそれとして。そろそろ始めようか。この歪な物語を。
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