第4話 最近の校長の話って短い気がする。

「では、これよりアタナシア魔術学園の入学式を始める。少しの馬鹿どものせいで2時間ほど遅れたがな」

イヤーダレダロウナー。ボクジャナイナー。

その後、何のイベントもなく進んでいった。

「ー以上で学園総領の挨拶を終わる。礼!」

ザッ

うん?今なんか音がした気がする。

周りを見渡しても何かがあった気配などは感じ取れない。

ふと、隣を見ると、白髮でフードを被った男がなんか不自然な動きをしていた。

さっきからモゾモゾと動き、ボソボソと周りに聞こえない声で何か発している。

元々の体の持ち主の頭には五感の感度を上げる魔法があったはずだ。使ってみよう。

付与魔法ー【五感強化】

「…異の門を開け我が敵、燃やせ………」

おいおい、嘘だろ?

それって…第五界魔法【紅炎プロミネンス】だろ?

一年生に扱えるわけがない。

しかも。狙っているのは…校長…

「っ…」

どうするか。一瞬で答えがでる。

(よし!コイツをボコす!)

魔術高速展開ー魔術複合 空間✕幻想

          【幻夢箱】

「うぉっ?」

一瞬にしてあたりが様々な色に混ざったような壁が四方に出てくる。もうここは違う次元なのだ。

悪いな。もうお前の声は誰にも聞こえない。

「端的に言おう。お前、どうして校長を狙った?」

その男はフードを取ると、動揺した目で見てくる。

白い紙に碧い目。高い身長

…イケメンじゃねーか!

ま、それはいいとして、

「ど、どうして俺がわかった?」

「あんな堂々と魔術詠唱をしていて気が付かないほうがおかしいと思うけどな。」

そう言うとそいつは「おかしい、何重もの結界をつけたはずなのに…」とか言っているけど、今は無視無視。

俺は頭の中に入っている知識を総動員する。

………………!

「あーお前、魔族だな?」

「!」

図星だったようだ。

なぜ、俺がそのような結論に達したか。

一、魔族と人間では友好的である種族とそうでないのがある。この眼の前にいる男はアスタロト、という友好的ではない悪魔だったはずだ。

二、悪魔の特徴である黒い角が【隠蔽】をつかっているが【隠蔽】が剥がれてしまい今はついていること。

「…どうして【隠蔽】が破れた。」

「そりゃあ第五界魔法なんてまだ体が成熟していないやつがつかったら魔力切れを起こすに決まってるだろ。」

「うっ…」

そう言うと、そいつはうつむいた。己の未熟さを悔やんでも遅い。

「とりあえず、お前には2つの選択肢がある。

このまま魔法警察に突き出すか、俺の協力者になる代わりにこのことを話さないかだ。さあ?どうする?」

やはり神の子を探すには人手が必要である。そのため俺はこいつにこの選択肢を差し出した。

「…」

「…」

しばらくの沈黙を破って奴は言った。

「わかった。条件を飲もう。」

「名は?」

「…ドライザー・イエゲルだ。」

よし(๑•̀ㅂ•́)و✧。

そして、俺は幻夢箱を解除する。

この魔法便利だな。


戻ると、ちょうどすべての工程が終わったところだった。教頭?らしき人が取り仕切っている。

「はい!では全校生徒よく食べ、よく寝なさい!」

腹をすかした育ち盛りたちが叫ぶ

「「「「「「うおおおおおお!」」」」」」

その後は難なく昼食は進み、ついにクラスに行くことになった。


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