第2話 僕はやってない。

「いや、だからですね、いきなりこの人が襲ってきたんですよ。」

「いや、そういってもねぇ…」


 ここは取調室。

 あのあと俺は意識が朦朧としているちびっこ刑事を連れて、警察署に向かった。その後、この眼の前に座るおじいさんから事情聴取をうけているのだが、これがまた、俺がだした損害が多すぎるとかなんとかで、話が終わらずもう、2時間ほどこのように椅子にすわっているのだ。

「で、君はチャーリーに魔法をうたれたので、やり返したと、そういうことだね?。」

「何回も言ってるじゃないですか…。」

 すると、ドアがバンッとあき、中から絆創膏をところどころに貼った男が連れの女性と一緒に入ってきた。

「お前っ…」

「だからぁ俺はなんにもしてないって…。」

「そのとおりだ、チャーリー。ちゃんと『嘘破棄』も飲ませたが、こいつはホントの事を言っている。」

「え?…」

なんだそれ。聞いてないんですけど。

俺の表情から察したのか、おじいちゃんが答える。

「嘘を強制的に吐かせなくする薬だ。さっきお前が飲んだ茶に入れていた。」

おおぃ!!

飄々というおじいちゃんに驚きを感じる。

「チャーリー。お前、こいつは違う。人を殺したことが無い眼だ。」

うっ

チャーリーの息を飲む音が聞こえ、少し間をおいたあと、

「…わかった。爺がそこまで言うんだったら信じるよ。」

そして、俺はあっさり開放された。横にちびっこ刑事を添えて。

「まさかとは思ったけれどお前も学園の入学者だったのか。」

「…」

「と、いうかなんで俺と犯罪者を間違えたんだ?そもそも間違えるか?」

「…」

「そもそもお前、警察だろ。学校何かでほのぼのと暮らしていいのか?。」

「…警察が学校に行こうがどこに行こうが君には関係のない話だ。あと、君はこの学園を『ほのぼの』と形容したな。それは間違いだ。」

「?」

「この学園…アタナシアで一年に何人人が死んでいるか知ってるか?」

「うーん…1人とか。不慮の事故で?みたいな。」

「20」

「は?」

「20人だよ20人。」

「『それ』で学校を名乗っていいのか?そんなのがまかり通っているのか? 親は預けたいと思うのか?」

「それが『魔法』というものだ。『魔法使いというものは一寸先が死』賢者イザードラ・クローリーの言葉だ。まあ、田舎育ちのお前には絶対にわからんだろうがな。」

やけに 絶対 という言葉を強調するところに違和感を覚える。

「どうして俺が田舎育ちだとわかった?」

「お前、俺に捕まった時、逃げただろう。」

「?」

「普通の人間は俺の名前を見ただけで逃げ出すことはしないはずだ。」

「お前、もしかして有名人?」

「この街では有名人だ。」

いーやはっきり言うんかい。

そんな事を話していると、学園についた。

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