第1話 楽しい魔法講座

ヒュルルルルルル…ドガァーン!!

「まったく…あいつ絶対神め、転移したところが空中とか、無いだろ。えっと…この体は」

草原に落とされたあと、まずは自らの肉体を確認する。転生課に入ったときに最初に叩き込まれる事の一つだ。

そう言い、自分の身体を見る。

銀色の髪に痩せ型の体型。裸眼は悪くないようだ。イケメンとは言い難いが、まあまあな顔をしている。

腰には一本の杖と銃が対に差してある。

その後、『情報インフォメーション』と念じる。これは、念じるだけで上層部うえ

からの連絡などが取れたり、こちらから連絡することもできる、というすぐれものである。

どこの世界に転生しても使えるので、大変重宝している。それをみると、今日はこの体の持ち主が学園に入る日、つまり、入学式らしい。

そうとなったら、早速いかなければ。

その場で簡単に体を動かし、学園へ走りだした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


門をくぐると、そこは学園独特の雰囲気がただよっていた。

俺、エトランセ・グラニクルは足を踏み入れた。

俺はここで楽しい学園生活をおくるゥ↑!

って感じではない。

俺は…俺はッ…

あんの上司ガッ!無理難題を押し付けやがって…

あ~~~!!!

さっき送られてきた書類によると、俺がやるべきことは

………

転生者にふさわしい器をみつけろ、と、言うことらしい。

普通、現界(人間たちが住んでいるところ)から異界(いわゆる【異世界】)に送るときは何らかのショック(「トラック」とか)を受けさせることによって送るものだが、そのときに転生させる『器』が必要になる。それを見つける仕事ってこった。

さっきから叫んでばっかな気がする。

ふと、周りを見ると、あっ…引かれてる…

ちょっと落ち込んでると、

「あー…君。大丈夫かい?」


横を見ると、小柄な少年が脇に本のようなものを抱えている。

「うん?」

「君、さっきから体からただならぬ殺気が出てるよ。」

「本当か?」

「君の周りに人が寄って来ない事で一目瞭然だと思うけどね。」

なかなか皮肉がうまい奴である。

「名前は?」

と、聞くと、

「チャーリー・トルランスだ。よろしく。」

差し出された手を掴む。

すると、体に電撃が流れたようにビリビリとした。

「ウッギああああああ!!」

瞬間、手錠がかけられた。

「おい、どういうことだ!」

まだ、体の制御がおぼつかない状態で、そう聞くと、

「やっぱりね…。まったく、犯罪者がのこのこと学園に入ってきたなんて…情報のとおりだな。」

「おい!俺の質問に答えろ!」

「君、自分の侵した罪も忘れたのかい?君はここ、王都で10人連続殺人をしたんだ!

あと、9時32分特別警察チャーリー・トルランスの何おいておまえは逮捕だ!」

「なっ…!」

オー。マジデスカー。

「君はこれから交番に来てもらう。抵抗はするな。」

一拍おいて、俺は答える。

「悪いが、断る。」

「何!?」

瞬間、辺りを光り輝かせる。

この体の持ち主であるエトランセのポケットに入っていた、『閃光玉』を地面に叩きつけた。

さっきポケットの中に入っているものを確認していて良かったー。

「なっ!手錠はかけたはずなのに!」

「残念だったなちびっこ刑事。あんなにだらだら話してるからだよ!」

「お前がはなしかけてきたんだろぉがぁ!」

まずい。追いつかれる!

上からの情報インフォメーションにあったことだが、この世界では全員が自分だけの魔法『固有魔法』を持っているらしい。

そんな事を考えていると、ついに追いつかれた。

「民衆がいるところでは使いたくなかったが…いいだろう見せてやる!」

氷系統魔法ー第三界魔法ー高速術式展開ー

『氷狼の咆天!!!』

すると、3メートル上に魔法陣が展開され、氷狼フェンリルの頭がでて、氷塊を高速で吐き出す。辺りは氷ので覆われた。

「やったか?…」

そう、メルが言うと同時に俺は氷の中から出てくる。元々の天使である『俺』は魔法の使い方は知らない。

しかし、元・体の持ち主であるエトランセは分かっているようだ。


「いくぞ」


氷系統魔法ー高速術式展開ー

四重カルテット・氷狼の咆哮!!!』

「うっわああああぁぁぁ…」

うん、やったようだ。

ふと、後ろを振り返ると、

「良くも市街地を壊してくれたなぁ!!!」

市民のヘイトが俺に向かっている。

あっ。やべっ。

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