第3話 感情のコントロール不能

「ここに来るのも、数ヶ月振りか・・・」


俺は、上崎の家の前に着いた。

上崎の家は広く、父親が会社の社長をしていると雑談の話題で、聞いた事があった。


俺は玄関の前に立ち、インターホンを押す、するとすぐに、[上崎]は出て来た。


[い、いらっしゃい]


「お邪魔します」


俺が、玄関に入ると上崎は聞いてきた。


[今日も、するの?]


「それが、礼儀ってもんだろ」


そう言うと、上崎は和室に通してくれる。

俺は、仏壇の前に行き手を合わせる。

その仏壇には、上崎に似た女性が笑っている写真があった。


その女性の名前は、上崎胡桃さんと言い上崎の静音の母親であった。


嘘コクから付き合って半年程経ったある日、上書きして欲しいと上崎に家に連れてこられて、初めて知った方だ。


その時は、行為後だったので、クソ気まずかった。

今は、別の意味で気まずいのだが・・・。


俺達は手を合わせ終わると、階段を上り上崎の部屋に向かった。


部屋に入り、すぐまさ上崎は俺に椅子に座ってくださいと促し、上崎は床に座る。


「はぁ、俺たちはもう付き合って無いんだぞ?」


[それは、承知しております、ですが・・・]


「ですがじゃない、それにまだ体調悪いんだろ?」


[バレバレですか・・・]


「嘘コクだったが、何年付き合ってたんだと、思ってんだ」


その言葉を聞くなり、上崎は土下座をして喋りだした。


[嘘コクに付いては、通話でもいいましたが、やっては行けない事をしたと思っております、の心を弄んでしまってすいませんでした、ですが助けて頂いた時の、感情の昂りは本物です、事故にあってから私の心は颯太様にしかありません、そこだけはどうか、嘘だとは言わないで欲しいです]


多分俺は、とっくの昔に気づいてたんだと思う、上崎が俺に惚れていることを。


だけど、それと同時に許せなかったんだと思う。


元々、俺は高校の入学式の時に新入生代表スピーチで喋った上崎に一目惚れしていた、だけど入学から数ヶ月経ったある日に罰ゲームで嘘コクされ、恋心をバカにされた気分になった。


俺は、それを復讐だといい、付き合い始めた。

その日に交換した、ルインを見ながら喜びながら、悲しみの涙を流していた。


その時には、もうどんな感情で接すればいいか、分からなくなっていた。


芽生えた恋心か、嘘コクされ復讐の感情か・・・


それから1週間後、俺は公園で呼び止められた。

だが上崎の言葉はなく、俺は咄嗟に守りたいと言う感情が先走り突き飛ばした。


それから、上崎は俺に寄ってきて涙を流す、その涙からは、親愛の感情が見えた気がした。


俺は、その上崎に対し、『幸せだった』と言った。

あれは、復讐の感情が薄れて居たのかもしれないし、恋心の方が強かったからかもしれないが、今になっては分からない事だ。


その後病室で起き、心配された時には、復讐の感情が、嘘コクだからと思い、恋人ではなく、クラスメイトへの心配だとしてしまった。


だが退院後の世話を、上崎がすると言う事に何故か異論は無かった。


感情のコントロールが出来ない。


それから数ヶ月後、柄の悪い男に回されたと、聞いた時、守れなかった、と言う感情があり、ざまぁとも思ってしまった。


それに、男性恐怖症になった時、俺だけ対象外と知った時、心を完全に堕とそうと思ったり、依存させようとも思ったが、助けないと、とも思うよになった。


感情のコントロールが・・・壊れる。


それから、嘘コクで付き合って2年、上崎が男と話しているのを妬ましく思ったり、良かったな上崎、とも思うよになった。


俺は、感情がぐちゃぐちゃになり、上崎の事が好きだった事を、嘘コクを無かった事にしたかった。


そうして放課後、俺は上崎と別れた、最後の最後も感情がぐちゃぐちゃになり、上崎の涙を見た時に別れの言葉を取り消したいと思ったし、これで解放されるとも思った。


それから数日後、俺は雪音や新城に、上崎を助けて欲しいと言われた時に、また感情を壊されないと行けないのかと思い、イライラしてしまった。


だが、もう遅かったのだ、『助けてあげて欲しい』とお願いされた時に、俺は上崎を助ける9割程だったのだから。


俺はちゃんと、感情を取り戻せるのだろうか・・・


____________________

あとがき


こんな感じでどうでしょう?


作者的にはいい出来になったと思ってます。


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