第17話 口呼吸の人は死ぬ
はい、まだまだ続きます。
私、鼻中隔湾曲症で、右の鼻はまるで使い物にならないんです。そのうえ左まで詰まったらもう口呼吸しかありません。
口呼吸の人はわかると思いますが、ありえないほど喉が渇くんですよ。そんなときに茶が飲めないとか、死ねと言われているようなもので。
十一時まではお茶飲んで良かったんです。でもそこからがもう地獄です。十一時二分にはもう口から喉にかけて完全に乾燥してるんです。たったの二分でもうこれ! あと二時間どうやって生きて行ったらいいの?
とにかく喉はどうにもならないのでせめてうがいだけでもやって口をなんとか乾燥から守りました。
でも「手術室行きますよー」って言われてから手術室までがもうダメ過ぎる。僅か三分、手術室に入ることにはカラッカラなんです。うがいさせて、頼む。
麻酔が効いちゃうともうわかりませんからね、楽なもんです。お腹に四か所穴開けて、カメラと鉗子突っ込んで胆嚢ちゃんをチョッキンするわけですが、私にはわかりません。あとで胆嚢見せてくださいって言っといたから見せてくれるかな……。
本当の地獄は目覚めたあと。
口が完全に乾燥している状態で喉の奥に気管チューブ挿入されますからね、麻酔が醒めたって声なんか出るわけがないんです。声が出ないのにいろいろ聞いてくる。
「起きて下さーい。目覚めましたかー」
はい。声出ないけど。
「声出せますかー」
無理。出せてたら出してるし。
「しんどいとこありますかー」
いや声出ないのにどうやって伝えろと? 喉が渇いて死にそうだよ。
「胆嚢見る?」
今かよ! あとでゆっくり見せてくれよ。今は見たくても無理だよ!
そのままICUにぶち込まれます。
ぶっちゃけ私が今一番しんどいのは口から喉にかけてカラカラな事なんだよ。十分くらい延々とうがいしたいんだよ。出来れば濃い目のアズノールでガラガラやりたいんだよ。
だけど起き上がれないし声も出ない。たったの二分で乾燥したのに、その後うがいさせて貰えない!
その後「寝返り打っても大丈夫ですよー」って言われたけど、それ無理だから。腹筋に力入らんし。身動き取れないし、喉は乾燥するし、結局この日はこのまま。夜も『喉の乾燥が酷くて』眠れなくて、これが何より地獄でした。腹の痛みなんかどうってことねーよ。
今まで生きて来て一番しんどかったのが、この術後の(術前二時間前からだけど)喉の乾燥です。麻酔無しで皮膚移植なんて可愛いもんです。
まだまだ続きますよー。
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