第16話 手術の前日は絶食だよね?
はい、続きです。
私の場合は胆嚢摘出手術ったので、全身麻酔です。以前局所麻酔で手術を受けたことがありましたが全身麻酔は初めてです。
局所麻酔の時ひどい目に遭ったんですよ。ちょっとした事故でね、網膜は剥離しかけるわ、頬の肉が飛ぶわ、まあ散々です。嫁入り前の14歳なのにね!
そのとき皮膚が足りなくて瞼から移植したんですね、それが痛いんだな。局所麻酔って意識あるし喋れるからね、喋るわけです。
「先生、そこ麻酔効いてません」
「うん、麻酔してないから。瞼はできないの、麻酔。だからちょっと我慢して」
「はーい」
……痛いよ。でも我慢したよ。手術台の上の如月と書いて、まな板の上の鯉って読むからね、仕方ないよね。
で、まあ、全身麻酔っていうのは局所麻酔と違って脳味噌休ませちゃうからね。当然呼吸も止まっちゃう。だから気管挿入しないといけないわけです。
だけどご飯たっぷり食べてると逆流しちゃって危ないわけね。当然胃の中を空っぽにしないといけません。
入院したのは手術の前日でした。当然、前日の夕食は絶食なんだと思ってました。
出たんですよ、ご飯。暇ぶっこいてたんで延々と堂場瞬一なんか読んでたら「お食事でーす」って。
「え? 私、明日胆嚢摘出手術ですよ、全身麻酔ですよ」
「ああ、大丈夫。午後一だから今食べても平気」
そうなんだ。そういうもんなんだ。びっくりしたよおいら。
翌朝、また午前中は暇なんですよ。しゃーないし堂場瞬一読んでるんですよ。八冊持ち込みましたからね、私。
いえね、去年コロナで入院したとき、たまたまカバンの中に今野敏が三冊入ってたんです。『隠蔽捜査』シリーズだったかな。あっという間に読み終わっちゃったんですよ。その後の数日間暇すぎて死ぬんじゃないかと思った。
まあ、たまたまでカバンに今野敏が三冊入ってんのもどうなのよって感じではありますけど。
そういうのもあったんで、今回は八冊です。『アナザーフェイス』シリーズです。警察小説ばっかり読んでますね。ってどうでもいい情報ですね。
んで、また読んでたら「お食事でーす」が来るわけですよ。私のところには当然来ません。と思っていたら紙パックに入ったジュースみたいなのを持って来たんです。
「これ、栄養ドリンクなんで飲んでくださいね。ビタミンとかプロテインとか入ってるやつです。十一時まではお茶も飲んでいいですよ」
二時間前までお茶飲んでいいんだ!
まだ続くよ。(次回は地獄)
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