第6話 死語の世界
ン十年前の話になりますが。如月SEやってた頃がありました。14歳JCになる遥か前ですね。
専門はDBMSでした。VISつって通じるかな、わかる人だけにわかればいい呪文なので読み飛ばしていいんですが、ACOS-4を使っていたのでRIQSⅡ(RDBMS)メインでした。
当時は『RIQS教の教祖』というあだ名がついてわざわざ聞きに来る人が後を絶たなかったというのに、今では「RDBMSってなんだっけ?」ってくらいきれいさっぱり忘れてます。用のないものを忘れて行かないと次が覚えられないんです、脳のキャパが小さいからね。
それ以前に、もうDB(データベース)って言葉が既に死語ですね。あの頃は最先端だったのに。
で、そういう連中って職業病的にいろんなものの音程やイントネーションが違ったり、歌の歌詞が変わったりするんですよ。きっとほかの職種でもそういうのあると思います。
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うちの場合はみんなでご飯食べに行った時に顕著に出ました。
今はみんなパソコンくらい当たり前に使うからそんなこと無いんですけどね、昔ってパソコン扱えるってだけで「すげー」とか言われてた時代ですからね。なにしろ外部記憶にMT使ってましたから(ここも呪文でいいです)。
ウェイトレスのお姉さんに「メニューください」って言う時。一般人は「メ」にアクセントが来るんですよ。でも業界人は「ニュー」にアクセントが来る。
一緒に飯食ってるのは全員SEですから全く疑問に思わない。だけどウェイトレスのお姉さんだけが「?」となる。
結果的に2回くらい聞き直されて初めて誰かが気付くという……。
***
当時はまだ音楽の媒体としてはカセットテープが主流でした。カセットデッキとかあってね。高校生なんかみんなダブルデッキとか持ってるわけですよ。
カセットテープを二本入れて、AデッキからBデッキにダビングしたりすんのね。
今なんかカセットテープ探すの大変だよ? もう化石みたいなもんだからね。当時はCDすら普及してなかったけど、今はCDが既に古いしね!
で、上の方で書いた「外部記憶にMT使ってた」なんですけど、カセットテープのオバケみたいなやつなんですね、デカいの。
カセットテープだって「音楽を録音している」んじゃなくて「音楽データを記録している」に過ぎないわけで、一般人はそんなこと知らないわけですけども。
我が家にはパソコンがありました。父が会社を経営してたからなんですが、そのパソコンってのがデカくて重くて、そのくせディスプレイが5×20cmくらいなんですよ。
そこに緑色のドット字が出るんです。英数字のみ! バックは黒! 5行くらいしか書けないやつ!(機種何だかわかりませんけどNECでしょう)
それしか書けないのにどうやってプログラム保存するんだよ! ってことでカセットデッキにつないでカセットテープに記録します。
それが最先端なんだぜ、もうびっくりさ。
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中学生くらいからそんなことして遊んでたんで、高校の吹奏楽部の連中は驚くわけです。「カセットテープって、音楽を録音するものじゃないの?」って。
いくら「音楽『も』データとして保存してるだけ」なんて言ってもね、今ほどにデジタルが普及してないのでみんなチンプンカンプンなんですね。
今でこそ小学生でもプログラミングできる環境がありますけど、当時は「CPU(中央処理装置)とは何ぞや」からスタートして「まずは
だから「カセットテープに音楽を録音する」吹奏楽部と絶望的に話が合わない。私も吹奏楽部なのに!
そんな中で、BASIC勉強してるやつがいたんですよ。家にパソコンなんか無いんですよ、そいつ。すげえ! マジすげえ!
私はたまたま家にパソコンがあったからBASIC弄り倒してゲームとか作ってた(インタプリタだから超絶遅い)訳ですが、そいつと話す頃にはもう
その頃よく歌ってたのが『おお、ブレネリ!』。
♪おおブレネリ あなたの おうちはどこ~♬ ってみんな知ってますよね。
はいここで勘のいい人は気づいたはずですね。そうですサビの部分です。
♪ヤッホー ホートゥランランラン(←ココだ!)
コンパイル中の歌がこれですね、確実に。しかもサビの部分だけをエンドレスでループするやつ……。
♪ヤッホー FORTRANランラン
♪ヤッホー FORTRANランラン
♪ヤッホー COBOLンルンルン
♪ヤッホー COBOLンルンルン
go to書いたはいいけどexitのないプログラムのように延々とループです。
まるでアホですね。アホそのものですね。
今ですか? 今はもう歌いませんよ。FORTRANもCOBOLもC++もJCLもぜーんぶ忘れましたから。(ビミョーにCREATEVSASとか覚えてる)
それでもこの歌を歌えと言われると、条件反射的に「FORTRANランラン」になるのは否めません。
だってエンジニアだったんだもん!(どっかで聞いたことのある決め台詞)
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