第7話 レモンとメロン

 子供の頃の話です。

 派手にすっ転んで膝小僧から血ぃダラダラ流しながら帰って来るなんてのは割と日常茶飯事でした。あの当時は、ドラえもんに出てくるような無駄な空き地があって、土管とか無造作に置いてあるところがたくさんあったんですね。それで土管の上をダッシュして落ちたりとかね、そういうのが普通の生活と言うかね。

 で、帰って来て膝小僧が凄いことになってる。そこで親に言うわけですよ。

「膝、大砲して」

 いやいやいや、大砲はアカンやろ。吹っ飛ぶわえ!

 私、包帯と大砲の区別がつかない人だったんですね。


 妹はまだ可愛い。レモンとメロンの区別がつかなかった。それで親に「レモン食べたい」って訴えるのね。でもお前が食べたいのはメロンだろ?


 私は包帯を大砲と言うくらいですからね、間違え方も派手です。膝をすりむいてズボンが血みどろになるじゃないですか。そうすると母がね、「あーこれは血の染みがついちゃうかなー」って言う訳。でもお気に入りだったりすると染みはとって欲しい。勘のいい人はもうわかったと思いますが、如月はこう言っちゃうんですね。

「じゃあ、このズボン脅迫して」

 衣服を脅してどうすんだよ。それを言うなら漂白だろ。と今ならツッコみますが、当時はガキンチョだったんでね、すっごいマジで言ってるんですよね。


 でも子供って多かれ少なかれそういうのってあるでしょ? あるよね?


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