第17話 私と小林一家
私は自分が住んでいる駅前で待ち合わせをしていた。——今日は久しぶりに理沙さんと遊ぶ約束をした。しかも理沙さんの家にだー。
学校帰り———
電車の中で一緒に乗り会話を始めた。
———たわいのない話だ。今期のアニメの話。天気の話。前にテレビで特集していた話。
流れ、流れに話していたら、私は前回にきららさんが来た時に食べたホットケーキの話をした。
なんか食べたくなったなー。と言ったら、だったらホットケーキ‥…。じゃないけど夕飯をご馳走するわ!と理沙さんが笑顔で言ってきて、今に至るのだ。
今日は土曜日———
土日の二日間遊ぶことなので一応、婆ちゃんにはしゃべった。
アオイもくるかー。言っては見たが。その日は真菜と他の友達含め、一緒に入学祝いの小旅行するらしい。と言っていたので行けないらしい。
さらさんときららさん、あの子も誘っては見たが三人とも嫌な顔をして行きたがらなかった。少女に至っては理沙さんの名前を出したら即座に逃げ隠れた。
そういえば幽霊界では理沙さん、おぞましい存在で近寄りたくないと言っていたな。
なので、私一人でご馳走になることになった。
私服はいつものジャージ———ではなく黒の長ズボンに灰色のTシャツ、黒のパーカー。とてもオシャレとは言えない。
まぁ、ジャージ以外のファッションは、黒と白と灰色の三色で自由に分けてきているから、あまり困らないが———。
「やぁ、お待たせー。」
理沙さんがやってきた。
相変わらず、可愛くてオシャレだー。
服装は、ロングスカートに水色のパーカー、白Tシャツにで着ていた。
前はちょっと露出多めだったが、今回は穏やかなファッションだ。
分からないけど。
この状況———通行人側で見ると私たちは恋人同士に見得てるのだろうなー。
「じゃ、一緒になったし、行くか。」
私が歩き始めると唐突に抱き着き
「美希さん——。こっから見ると恋人みたいだねー。」
肩に顔を近づけて耳元で言ったのだ。私はちょっとドキドキしてしまったよ。
※
電車に乗り、駅に着いたのは秋葉原———なんでも欲しいマンガの新刊が出たらしく。
理沙さんの地区では、もう売り切れてしまって、池袋か新宿に行こうと思ったが、私と遊ぶとなったら、ついでにアキバに行けばいいか。と言っていた。
私もよく行くが——行くとしても欲しい単行本やゲームソフトくらいに来ない。
歩いているとアニメショップに入った。三階まで着くと理沙さんはお目当ての本を探し始めた。私は理沙さんが買うまで本棚をボーっとしていた。
五分後——
「お待たせー。あったわ。」
お目当ての本を見せると、それは女の子同士の恋愛を書いた百合マンガだ。
「あ、私も持っている奴じゃんか。」
「そう!んじゃ、電車の中でお話しましょう。」
そう言って、私たちは駅まで歩いて行った。
※
理沙さんの家に着いた。
マンションで———しかも最上階に暮らしていた。
理沙さんちってお金持ちなのか。
エレベーターから降りて一番端に来た。
「さっ、入ってー。」
理沙さんはドアを開けたのだ。
玄関から見て、整理整頓していてびっくりした。
この時、私は玄関の向こうの壁に人らしきのもの———色はどす黒い奴がこっちを見るような目つきで描いてある絵画にギョっとした。
「あ、これは父のコレクション。」
「えっ。」
私はびっくりした。
あの不気味な絵画がコレクションとは——恐るべし。
私たちは、廊下を歩いてドアを開けた。
ここが理沙さんの部屋か——。とワクワクしていたが開けた瞬間。その感情は消えていき、またギョっとした。
フランス人形や日本人形などの人形が壁が見えないように部屋一面にあって、中にはわら人形もあって、ベットにはぬいぐるみがたくさん置いてあってここだけかわいらしメルヘンチックな動物たちがある。———アンバランスな部屋だった。
「どう——私の部屋。」
「‥‥きれいにそ、掃除していてびっくりし、しだよ…。」
人形がいっぱいで———びっくりしたなんてとても言えない。
理沙さんはニコニコしながら振り向いて。
「何か、飲み物持ってくるから、くつろいでいて。」
ドアを開け、部屋を出た。
この空間で一人はキツイなー。
とりあえず私は正座をして待つことにした。幽霊たちが嫌がるのもなんとなくわかるなー。
しかしよくこんなおぞましいものコレクションしようとしたな。———父譲りなのかなー。
すると、ガタガタと窓のほうから物音がした。
ビクっとなった私は恐る恐る近づいてみにいった。
またまたギョっととして一瞬掛け布団をかけて離れた。
ぬいぐるみの中に肉の塊みたいなのが、びくびくして隠れていた。
あれもコレクション。さすがに私でも引くよ。と思っていると
ん?なんか、見たことあるような。
もう一度布団を外して見てみるとアッと声を出した。
そうだ思い出した。最初に理沙さんと出会った時スマホの写真で見せたときいたあの肉の塊。
「ぬっぺっぽう君?」
私はうる覚えで名前を言った。確かこんな名前だったなー。
ぬっぺぽうという肉の塊はびくびくしながらしゃべり始めたのだ。——しゃべるのかよ。
「貴様、あの娘こと友達なのか。」
ジジイみたいな声で驚いた。どちらかというと赤ちゃんみたいなキンキン声だと思った。
「まぁ、友達っちゃー。友達だけどね。」
「そうか。だがおぬしには襲るに足らない。どちらかというと親しみやすさが感じるー。よく幽霊にとりつかれやすいとかあるのかー。」
確かにー。
「憑りつかれてないなー。よく出てくる水玉模様のワンピースの少女は何度か出てくるけど、生気とか抜けてないから。」
「水玉模様のワンピースの少女もしや…その子」
そう言った瞬間。
「おまたせー」
足でドアを引いてオレンジュースを持ってきた。
それに気づいたぬっぺっぽうはびっくりしてまたどこかに隠れていた。
「あれー。あの子、あんな所にいたのかー。最近見かけないと思っていたから。心配だったんだよな。まぁ、どこかに見つかるだろう。」
理沙さんはニコッと笑って言った。私は苦笑してオレンジジュースを飲んだのだった。———いったい奴らとは何があったかは知らないでおこう。
※
私はリビングに来てくつろいでいた。
私の家とは違い、テーブルとかなく代わりにカウンターがあって座っていた。
理沙さんは手作りでオムライスを作っていた。
部屋にいる前に時間になるまでー。理沙さんが集めていた。ホラー映画コレクションを見せられたのだ。
私はこう見えてー。‥‥こう見えてでもないか。ホラー、怖い話は苦手だ。
いや、怪談本や、怖い昔話はよく読んでいるだから。まぁ、あれは怖いよりかは好奇心が勝っているのか。
なので。まだ記憶に残っていてビクついていた。ちょっとちびりそうになったが。
だが、いろいろ、理沙さんが探していたら、普通にディ〇ニーやらピ〇サーも持っているから、そっちにしてくれ!と思った。
「ただいまー。」
玄関のドアの開ける音がした。誰かがやってきたらしい。
「おっす!理沙ー。お待たせ。」
サングラスをかけた茶髪で、あごひげをはいているー。スーツの男性。
「紹介するねー。この人、私のパパ。」
「初めましてー。父のカズマサです!」
小林父は。手を出して握手した。私はもぞもぞとしていると、ハッと手を放して。
「おっと、ごめんなさい。外国に居すぎてつい癖でやってしまった。」
「セクハラはダメだよ。パパ!」
理沙さんが鋭いこと言ったら、小林父と一緒に笑った。
話によると、外資系の仕事をしていて、あまり帰ってこれないとのことで。やっと今日から、半年まで日本で家族とともにくつろぐとのことだ。
「ただいま」
また誰かがやってきた。すかさず小林父は走っていき。
「よっ、久しぶりーマイハニー。」
小林母に抱きついて、あいさつした。
「ちょっと娘がいるでしょ。くっつかないで。」
顔が赤面になって言った。
長髪でー。モデルさん並みに顔が整っていて、理沙さんにどことなく似ていた。
服装はスーツ。ちょっと男装みたいに着こなしていて大人びていた。
「また紹介するね。私の母。」
「初めまして小林クリスティーナさつきです。」
えっ外人さんだったの———。けど小林って‥‥。
「えって言うと理沙さんってハーフ?」
「ちがうでしょ!普通に日本人だよ!ママ、冗談はやめてよ。」
「ごめん。ごめん。」
小林母は理沙さんの頭をなでて笑っていた。
理沙さんはプクーと顔が膨れていた———なんか
「ごめんね。本当は小林さつき、さつきママって呼んでね。」
さつきママはお辞儀をしてあいさつした。
さつきママってどっかのスナックのママの名前みたいだ。
理沙さんが言うにはさつきママのほうも仕事がイラストレーターで、あまり帰ってこないらしく、久しぶりに休みをもらってここ一か月くらいは家にいるらしい。
「さ、さつきママさんー。‥…理沙さんと一緒で美人ですね。」
「やだねー。もう、お世辞言われても、何もくれないわよ。」
さつきママは小林父を叩いて、あいさつを終わった。
小林父はそれでも笑って見逃していたので———なんか、すごい家族だなー。
こうして、私たちは小林家族と一緒にオムライスを食べていた。
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