第18話 初めてのお泊り

「今日はありがとうございます。」

「良いんだよ───。替えのパジャマだとか、ハブラシとか買ってきたから。ゆっくりしていってね。」


さつきママは最低限、必要な物を買ってきてくれて渡した。


「あ、ありがとうございます。」


ふと、私は思い出した。

ヤバイ! あそこの部屋で、眠るのはキツイなー。つーか眠れるかどうかだけど。

私は理沙さんのほうを向くと、皿洗いをやっていてもう終わらしていた。


「美希さん。先にお風呂入っていいよ。」


な、なんだどー。私はドキッとした。───他人の家で風呂に入るのは初めてこともあるが。一応憧れでもある。理沙さんの家のお風呂に入るとなるとさすがに足が震えてきた。


まぁ遠慮なく。

私は何も考えずに、洗面所に入って服を脱ぎ、浴槽に入ったのだ。ここでも整理整頓できている。しかもオシャレなシャンプーとか、リンスとか置いてあってまるで金持ちになった気分だ。─────まぁ、理沙さん家は金持ちだけど。


「美希さーん。バスタオル、ここに置くから···あ、あと、そこのシャンプーとリンス、使っていいからー。」


理沙さんは言うと洗面所を出ていった。

では遠慮なく────私は言われた通りにシャンプーを使ってみた。

───いい香りだ。

これはボタニカルの香りってやつだな。なんていうか。草木の香りと言っておこう。たぶん違うけど。

けど、この香りは気持ちがいいわ。

私の使っているのなんて、アオイが買ってきたシャンプーを使っているから考えてもなかったよ。


そして、シャワーで流し、今度はリンスを使って頭を洗った。───さっぱりした。

短い髪だから、そんなに洗わないが。理沙さんは長いから結構大変だと思うなー。


お風呂から出てきたら、新品同然みたいなふかふかバスタオルとちょっと可愛らしいピンクの花柄のパジャマを置いていた。


私、好みじゃないけど、理沙さんに失礼なので、着てみたのだ。

やっぱり似合わないなー。

私は洗面所にあるドライヤーで髪を乾かし、歯磨き·······。あ、理沙さんの部屋から持ってくるの忘れてしまった。


仕方がない。私は洗面所から出て、理沙さんの部屋のドアを開けた。

一瞬下を見ていたので正面をみると私は驚愕した。


なんと、理沙さんが、下着姿でぬいぐるみをどかしていた。

上下─黒色の下着

理沙さんってこんな下着履いていたのか───ってそうじゃない!

一瞬赤面なって──ドアを思いっきり閉めたのだ。


······って、ちょっと待って!

「理沙さんー。なんで下着姿になっているんですか!」

私はドアを開けて、理沙さんに突っ込んだ。

「ごめんねー。言うの忘れていたけど、私、家の中だと服を脱ぎ捨てる癖があるの。」


服を脱ぎ捨てる癖────なんて素晴らしい。·······じゃなかった!私は困惑してきた。

「えっ、じゃー。パパさんとママさんも知っているのー。」

「知っているよ。けど、二人ともあまり気にしていない────。ママだって夏になると全裸になって家の中出歩いているくらいだよ。」


あの美貌で全裸ってー。女子の私でも、想像するだけで興奮してしまいそうだ。

「んじゃー。パパさんも」

「パパは脱がないなー。逆にママにだけ全裸になるのはダメだー。って怒っていた。」

お父さんー。やっぱ気になるのかー。そりゃあそうだ。··········けど。


「とりあえず、私とかー。他の人がいる時は服を着てー!」

私はドアを閉めてー。洗面所で落ち着いていた。

私だって気になって興奮······じゃなかった。意識してしまう。私が考え込んでいたとき、あ!っと声を出して言った。


ハブラシ。忘れたー。


今、理沙さんの部屋のドアの前に立っている。

ちゃんと服、着たのかな。私は意を決してドアを開けた。


───ちゃんと服は着ていた。

紺色の、裾あたりは紫の花柄が縫いてあった。パジャマだー。

私、そっちのほうがよかったなー。


何やら不機嫌にプク顔になっていた。

「いいんじゃないか────。減るのもじゃないし。」

「私の神経やばそうになるからダメ!」

少女並みに厄介な人だ。


だけど、敷き布団と掛け布団を敷いていたー。ここは優しいからいいが。

理沙さんは無言のまま風呂に行ってしまった。

怒っているのだろうなー。けど、やっぱり下着姿は予想外だから仕方がない。


私は床に敷いてある布団に座って考え込んでいるとー。

「あなたは──恐るべきもの───小林理沙のこと知らないようだなー。」

ぬいぐるみだらけの中から、ぬっぺっぽうが現れた。

「理沙さんのことー。」


理沙さん───。小林理沙さんは小さい時から汗っかきでありー。外へ遊ぶにしても、滝のように流れてー。汗だくになっていた。


服がベトベトになるのを嫌っていた理沙はー家に帰ると毎日シャワーを浴びてたくらいで────。めんどくさくなって、服を脱ぎ捨てたら、その爽快感がやめられなくなり────。今に至る。


ぬっぺっぽうはしゃべるのも終わると少し落ち着いて座った。

「まぁ、そういうことでー。理沙はー。あなたには知ってほしかったに違いな──。」


ぬっぺっぽうが言った瞬間に理沙さんが入ってきて、思わず逃げ隠れてしまい。どこかへ消えたのだ。


午前0時ー。理沙さんは何も言わずに布団を潜って寝てしまった。

謝るチャンスを逃してしまったー。私も仕方なく布団に潜って朝になったら謝ることにした。


だがー。全然寝付けない。不気味な人形のせい──ではなく、たぶん謝ってないから消化不良で気になるんだと思う────。

寝返りをしても、眠りにつくことがなくあっという間に深夜になってしまった。


「ヤバー。トイレー。行きたくなった。」

立ち上がってー。私はドアを開けた。


トイレは玄関から近くにあるのであの不気味な絵画に遭遇しなきゃならない。

私はゆっくりと廊下の電気をつけた。───そりゃあ、真っ暗では歩きたくないよ。


トイレに着いた────。

通り過ぎた方には例の不気味な絵画がある───。なんか見られているみたいで怖いなー。

トイレに入り用を足してでたその時!


一瞬───電気が消えた。

「あ。!」

私は思わす叫んでしまった。

お、落ち着け──。こう言うときは冷静にならないと

深呼吸して───よし!


私は壁に手を当てて歩いているとを思い出した。


(理沙さんが心配だ。)


私は理沙さんの部屋に向かおうと曲がっていくと。

「みーきさん。大丈夫。」

懐中電灯で顔を照らして脅かしてたのだ。

「ひゃ!」

あまりの驚きに変な声出してしまった。

「ドッキリ大成功!」


えっ?

電気がついた。

「いやー。ごめん。電気を消したのはパパで、提案はママ!······美希さんが不機嫌なってしまってどうすればいいで相談したら。こうなったんだー。」

私は苦笑した───が笑顔になって言った。

「んじゃ、怒っていないだ。」

「当たり前だよー。サプライズのために黙っていたんだよ。」

それにしても長すぎるだろ!と心の中で突っ込んだ。


そんなこんなで、この夜を楽しんだのだった。


翌朝────

ほとんど雑談してしまって、寝る時間がなく、今でも眠い。

「おはようー。美希さん。」

理沙さんは元気にあいさつしてフレンチトーストを焼いていた。


今日の朝ごはんだなー。私の分はできてある。

「朝ごはん先に食べちゃっていいよ。」

「では遠慮なく。ところで理沙さん。元気だね───。私と一緒で寝てないんじゃないの?」

「私、ショートスリーパーだから、三十分寝てれば大丈夫なんだよ!」


ショートスリーパー。最強だな────。私には無理だな───。と私は出来上がったフレンチトーストを食べたのであった。


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