第15話 ホットケーキ対決?

私はリビングにあるテーブルの前で立っていた。だってきららさんとさらさんが勝手に料理勝負が始まったのだ。


しかも、ホットケーキなんて————

「わたしでも作れるのに‥‥。」

私はボソッとひとりごとを言うと、アオイがギロっと私のほうを見て言った。


「ウソつけ!ほとんど作っていたの私のほうだろ!」

「あれ、そうだったっけ?」

私がキョトンとしていると、アオイがにっこりと笑い始めて。

「そうでしょ。姉ちゃんはフライパン焦がすからやらせないようしていたんだから。」

そうだったなー。と私とアオイはお互いで笑って、アオイはすぐさま振り向き語ったのだ。


「それじゃ、ホットケーキを作ろうとしようと思うが、材料がないので、スーパーで材料を買っていくことにしてください。」

きららさんとさらさんは同じく。分かったと言って、家を出たのだ。


スーパー

今の時間、5時近く、結構混んでいた。

子供連れや、仕事帰りのサラリーマン、ОL、学生なんかもいて、にぎわっていた。

学生は違うと思うけど、みんな夕飯の買い物で来ているんだろう。


そう思い私たちはホットケーキの材料を買うことにしたのだ。

「さらさんときららさんは幽霊で見えないと思うので私たちがレジまで誘導させていくね。。」

「けど、金を持っているのかよ。」

アオイが幽霊二人を睨みつけているときららさんが言ってきた。


「私たち幽霊でも仕事はしています。まぁ私の場合、バイトですけど古本屋のバイトで———今も合わせて8年近くやっています。それでも結構お金がたまって、今に至るってわけですね。」

「んじゃ、さらさんは。」

私はさらさんに向かって言った。

「私の場合は、神社の巫女———」

「えっ、あそこの。」

「いえ、違います。」

「私は神田明神でバイトしていたんですよ。」

「結構、有名なところじゃないですか。すごい!」

「ちょっと待って!バイトしていたってことは、今していないってこと」

アオイが言った。

「そうですね。今は、休業中です——。美希さんと出会ってからは働いてないですから。」

「つまり、今はニートでストーカーってことですか、なるほどなー。だから正月に遊びに来ていたのか。」

「そういううことですね。」

確かに、今考えれば正月は忙しいのにさらさんは私と一緒に遊んでいるから、幽霊って暇人だと思っていたよ。


「それじゃ、私たちはホットケーキの粉。買っていきますから。」

「分かった。アオイさん行きましょ。」

さらさんとアオイはそのまま牛乳コーナーに向かって行った。

私たちは、スーパーに出かける前に、ホットケーキの粉と卵と牛乳を買う役割を決めていたのだ。

お金はきららさんとさらさんで別々で出すことは今決めたらしいけど。


私たちはホットケーキの粉のある所へ向かったのだ。

ホットケーキの粉は、ジャムの近くにあって、種類が豊富でどれにするか。考えているときららさんはすぐに決めていたのだ。

「あ、それ、結構高いよ。」

私は値段に心配していったがきららさんは微動だにせずに行った。

「これでいい。」

かごに入れると続けて言った。

「あと、生クリームも買っていい。」

「いいけど、それだと予算がオーバーになってしまうけど。」

私が言うと、きららさんはあっ!と。びっくりした顔になって———。


「そういえば、そうだな。‥‥まぁ、気づかなければいいか。」

いいのかよ。と私は苦笑した。


きららさんは案外、抜けている所あるな‥‥。私もだけど。

ホットケーキの粉をかごに入れると、そのままバターこーなに向かったのだ。


すべての買い物が終わり、調理を開始した。

フライパンは二つあるので同じように作業を始めた。

二人組なるようにしよう。と私が言うとすぐにきららさんが来て一緒にやりましょう。と近づきながら言ってきたのだ。


何やら嫌な予感がして振り向くと、さらさんがイラ立ちながら包丁を持って見ていたのだ。

「おい、包丁はいらないぞ。」

アオイは微動だにせずに包丁をしまわせた。

「なんか殺気立っていない。」

「私たちのペアになるのも嫌なんでしょう‥‥まぁ、山口が嫌われようと関係ないけど。」

きららさんは材料を取り出して始めて行ったのだ。

まず、ホットケーキの粉をハサミで切り、ボールに入れて続いて卵と牛乳200mlを入れます。


きららさんがかき混ぜた。————結構上手い! こぼれないように滑らかに回している。

私とアオイはびっくりしていた。

「わたしだって!」

さらさんもかき混ぜていた————なんかぎこちなく回して、こぼれそうになっているのを見ていたアオイが心配そうになってきて言った。


「あーあ、こぼれる、こぼれる!、ちょっと貸して。」

アオイはボールを取って回し始めたのだ———見るに堪えなかったのか。

「ホラ、ちょっとはよくしたから、もう一度、自分からかき回しな。」

またさらさんに渡して、再び回した————。だが、またぎごちなくて回しているのかいないのか分からない状態でかき混ぜていた。


「ちょっと待て、またこぼれている。こぼれている。、ここは私やるから、さらさんは、フライパンに油を入れてて」

さらさんは分かったわ。とフライパンを取って油を入れた。

「ちょっと入れすぎだ。油こんなに使わないから。」


またやらかしていた。

私たちもフライパンに油を入れ、焼いていた。———こっちは手際が良い。フライパンを片手に持ち、ひっくり返したのだ。

焼け目も十分。

「もう、そこまで、あっという間だね。」

私はきららさんをほめているとニコッと笑って言った。

「料理は毎日やっているから当然です。」


一方、さらさんとアオイはというと

「ねぇ、アオイさん、もうひっくり返した方がいいんじゃないかな・・・・。」

「まだ、いれたばっかだよ! もうちょっと待って。」


ほとんど、アオイが作っていたのだ。さらさんは見てるだけ———。

まぁ、そうした方がいい。それにしてもさらさんは料理下手なのか初めて知った。

まぁ、ギャップがあって可愛い。と私はニコニコしながら眺めていたのだ。


そんなこんなでホットケーキが出来上がった。

私のほう二段重ねで上に生クリームをなんべんなく乗せて、チョコペンでかけていた。店に出せる完成度になっていて。私は驚愕していた。


アオイたちのほうも、出来上がっていた。こっちも完成度が高かった———四段重ね、端っこあたりに生クリームを少し乗せて、その上にイチゴを乗せていて、真ん中に生クリームとフルーツを乗せまくっていた‥‥。もうケーキに近かったのだ。


「こっちは、クリームとフルーツなんて買っていたのかよ。」

「さらさんが見栄を張って奮発したんだけど、あそこまで下手だと思わなかったから、私がほぼすべてやったから食える。」

「面目ない、つい血がのぼってしまいまして、うまく作れなかったのです。‥‥ですが!今度こそうまく作ってやりますわ!」

さらさんはきららさんを睨みつけて言ったのだ。

「望むことです。」


きららさんは歴戦の覇者のような目つきで言ったのだ。

なんか意外な対立関係ができていた。

「まぁいいさ、んじゃ、ホットケーキでも食べますか。」

そうアオイが言った瞬間———

「ボクも食べるのだー。」

少女が窓からやってきて上がった来た。玄関から入れよ。

「いや、これ、四人分しかないからダメ!」

私はかたくなになって言った。


「いいじゃないですか。半分にすれば五人前になりますから。」

きららさんはそう言って、みんなのホットケーキを半分にして少女の分を作ったのだ。

「この子が、噂の女の子ですね。他の幽霊からでも話が聞いています。」

「話」

「この子は幸運を呼んでくれる、女の子ですよ。」

「えっ、じゃ、例の座敷童子とかなのか。」

「いや、違う・・・・けど、今の所はそれぐらいしか知らないです。幽霊たちもあの子見ることなんてないから———どこからくるのか、何しに来ているのか。分からないです。」

「そうなのか。」


私は真剣な顔をすると、アオイが言ってきた。

「そんなことどうでもいいから———食うぞ。姉ちゃんは真剣な顔は向いてないから、先に食べているぞ。」

アオイとさらさんと食べ始めていた。さらさんに至っては大きな一口で、食べていてなんだか異世界の魔物みたいだった。

「この話はのちに話しましょう。では、ホットケーキを食べますか。」

きららさんは、いただきます。と言って食べは始めたのだ。

ふと私はあることを思い出した。


(そういえば、ホットケーキ勝負はどうなってしまったのか。…まぁいいか。)

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