第14話 星野きららさんと山口さらさん

そう言うことで、私たち二人、家に向かったのだ。


幽霊なのに、普通に歩いていて生きてる人とかと同じに見える。

まぁ、さらさんも普通に歩いているから、としてあったんだろう。


電車通学なので駅に入った。

「あのーすみません。私、電車の乗り方知らないですけど。」

「はっ。今まで学校から出てこなかったんですか。」

「一応、地縛霊ですから、学校以外で出ることなかったし、後、私インドア派だから。」


きららさんは無表情に語った。————分かるなー。と私は共感した。

「んじゃ、私は教えるわ。まず、あそこにある切符売り場に向かおう。」

私たちは切符売り場に向かって行った。

「さららさん、お金って持っているの。」

「持っているわ。欲しい本がある時にためていたんです。」


きららさんは言うと、ブレザーの胸ポケットから長財布を出したのだ。

さらさんと言い、幽霊ってどっから金稼いでいるのかちょっと謎だった。

切符の買い方を教えてもらって私たちは改札に向かったのだ。

閉じられると思ったが、彼女は飲みこみが早く、普通に通り向けて入って行った。


ふと私は思い出した。

「あれ、今思いついたんだけど、別に幽霊だから切符買わなくっても電車に乗れるんじゃない。」

あっ。ときららさんが急に思い出したかのように

「そういえばそうね。まぁいいか、いい経験になったから。」

きららさんは微笑みながら言ったのだ。


きららさんは電車に乗っている時は、座席に座らずに立っていた。私は座った方が疲れ取れるよっと言ったが、幽霊は疲れないからいいよと断っていった。


確かにさらさんもあの子も疲れてるところ見たことないしな。と思って言ったら、ちょっと混みあってすし詰め状態になってきたのだ。座っているとはいえ、ちょっと息苦しい。

きららさんは————微動だにせずに本を読んでいた。

この状況で物語の世界に入れるとは恐ろしいや。


ようやく私の家に着いた。きららさんは茫然と見ていた。

「ここが、少女の幽霊が出る屋敷ですね。」

私の家を廃墟みたいに言うなよ。私はドアを開けた。

何やら、とてつもなく、いやな雰囲気をかもし出している。

そういえば、アオイが受験シーズンでピリピリしていたんだ。

一つ音を出したら切れるに決まっている。


「あの、きららさん、私の妹がピリピリしているから静かにしてね。」

「妹さんね。他の幽霊さんから非常にモテまくって、私の友達にもファンがいっぱいいると言っていました。トゲがあるが、優しさが少しばかりあって、それがギャップが素敵とか言っていた。私は見ていないから分からないが。」

アオイも知っているのか。私は驚いた。


「わ、私の部屋は散らかっているから、リビングでいいかな。後で、少女とさらさん呼んでくるから。」

言う直後、いきなり二階に上がってしまった。

「あ、ちょっと。」

私は止めに入ったが、間に合わずにきららさんが勝手にアオイの部屋のドアを開けた。

部屋の中には、今にも雷が落ちそうな、仏頂面したアオイが睨みつけていた。


「‥誰!」

そりゃーそうだ。

きららさんとアオイは初対面だ。だがきららさんは微動だにせず探し始めた。

「どこにいるんですか。少女と女子高生!」

「おい、何しているんだ!」

アオイが立ち上がって、きららさんに向かって言ってきた。

今度はベットの下のほうを覗き始めた。

「私は,そこにいる美希が、少女たちがいると思って、割って見たくなったんですよ。けど見つからないわ。」

「そう言うのは姉ちゃんの部屋でやってよ。」


私の部屋でもごめんだ。

「いえ、ここにいるのは確かなんですけど。」

今度は机の下を見たのであった。

「ここにいるわけないでしょ。」

アオイが言った。その時

「美希さんこんにちは、遊びに来ました」

窓からさらさんが開けてあいさつしたのだ。

この下、屋根ないんだけど、まぁ、幽霊だし、いいか。


さらさんが窓から部屋に入って言った。

「‥…このメガネが、誰ですか。」

さらさんはきららさんを見て言ってきた。

なんだか睨まれたような感じがした。

「あ、さらさん、この人は、星野きららさん、図書室で偶然出くわして————」

「偶然じゃないよ、前に一回会いましたんだから。」

「前に‥‥っ」

さらさんは何やら口をかみしめて、言った。何やら雲行きが怪しい。

「ちょっと美希さん! ‥‥何ですか。、他の女を家に連れているんですか。」

「いや…別に私に会いたいってー。」

「そうですよ。君の場合はここにいる美希さんにストーカーのように頻繁に出会っているらしいと、他の幽霊とか言っていたので来ましたんですよ。」

「えっ、ストーカー。」

私はゾッとした。


「こんなのにストーカーする価値なんてあるのかよ。」

「し、失礼な、あるに決まっていますのよ。特別な力が宿っているんだから。」

さらさんが珍しく強気になって言ってきた。

さらさんは怒りをあらわになって。

「なので、美希をストーカーするのは恥かしくないのですよ。」

いや、おかしいよ。

「ここまで、言うこと聞かないのでしたら戦うしかありませんね。」

「いいわよ。」

さらさんときららさんはパチパチとにらみ合っていた。

「幽霊が戦うと言うと、念能力とか、霊力とかで戦うの。」

「そういうマンガみたいのは無理だから、ホットケーキをうまく作れるかで勝負しましょう。」

「なんでホットケーキなの?」

「「私たちが食べたいからです!」」


幽霊って食いしん坊なのかよ———





こうして、さらさんときららさんのホットケーキ勝負が始まったのであった。



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