城外攻防戦
最初の部隊は、私とルナで全滅させてしまった。
ああ、そうそう。
クローンの方は、ちゃんと全員縛り上げて置いておいたけど。
しかし、後から後から散発的に、クローンと
オルトを始めとする第参部隊メンバーズが、それらを逐次片づけている。
彼らの実力ならばたいした敵ではないのだが、数で押してくるのだ。
そして、1体でも逃せば、城を守っている部隊では太刀打ちできない。
だから、取りこぼすわけにもいかず面倒なのである。
メンバーズが陣取っている所には、クローンを混ぜて侵攻してくる。
私と
私たち夫婦は、まあ
そして、第参部隊の他の子達でも一人では勝てないので、少し無理をしてでもメンバーズの人間で片付けなければならいのだ。
「オルト! 私とルナは、親方様の方を見に行ってくる。ここ、任せて良いよね?」
私は、オルトの方を少し手伝いながら尋ねた。
「お構いなく」
「じゃ、ルナ。行くよ!」
私は、正門に戻り馬を借り、そこから城内を抜けて裏門へ突っ走っていく。
ルナも私に続いてやってくる。
城内の庭を走り抜ける時、城の守備隊の人達が私とルナを見て、こんなことを言っているのが耳に入った。
「凄い! たった二人であれだけの敵を。皇国の魔女だ!」
(魔女? 私が? 『冥府の舞姫』から格下げなのかな?)
私とルナは、これから『皇国の魔女』とあだ名されることになるんだろうか?
門の守備兵達がいたので、様子を確認した。
「裏門の外の状況はどうなっている?」
私は、守備兵に尋ねた。
そして、守備兵は答えた。
「はい。第参部隊の隊長様と隊員の方々が、押さえて下さっています。……、なのですが……」
その守備隊兵は信じられないという顔をして最後まで説明しきらなかった。
答えるのを待っていられないので、私とルナは門の上へ上って状況を確認した。
「わっ! 何、この数?」
ルナが思わず呟いた。
その数、千ぐらいであったろうか?
それを一人で押し返している剣士がいた。
そう、親方様だ!
そこから、ポロポロと漏れ出てくる
地形を利用し、そこに部隊を配置して数の力を無力化させて戦われていた。
親方様を迂回して来ようとするところを、第参部隊の子達が数で襲い掛かって一体、一体潰している。
なるほど、これでは親方様は、ここから動けない。
しかも、
そのほとんどを親方様に向けているのではないのか?
クローンを使わないのは、クローンでも親方様にはかなわないので、数が用意できないクローンは、私と
この状況を見て私は、もう少ししたら大聖堂に向かおうと決断した。
早く大聖堂を無力化しないと、数の力で押し切られる。
「姉さま、親方様大丈夫かな?」
つまらないことをルナも聞いて来る。
親方様は、まだ剣を一本しか使っていない。
本来の親方様の戦い方は、私と同じ二刀流なのだ。
私は、親方様の真似をしたわけじゃないけど。
帝国内でガルド達三人と対峙した時しか、親方様が剣を二本使っているところを見たことがない。
その三人の内の一人が、ルナの旦那様、皇太子特殊守備隊壱番隊隊長であるアミュレットだ。
「あれくらいなら大丈夫よ。もう一回りして、城の周りのクローンが片付いているようだったら、私達は大聖堂に向かうよ」
「あい」
城の周りを手分けして左と右から二手に分かれて周り、各メンバーズの所を軽く手助けしながら正門前のオルトの所に向かうことにした。
途中で、いくつかの戦闘中の集団に混ざり、各メンバーズの仲間の戦いを援助や、状況を確認しながら正門に向かった。
「姉様、ルナ。お早いお帰りで。親方様は達者であられましたか?」
と、オルトが言う。
「うん。張り切ってたぞ」
「姉様、これから行かれるので?」
「まあな。ちょっと行ってくるぞ。私とルナは、帝国との国境付近まで向かう。そして、帝国領内に進攻してるはずのガルド達と合流するか、間に合わなければ大聖堂に私だけ向かう。後、よろしくな」
「城の守りや皇国領土内は、お任せください。あちらにつきましたら、ガルド様にも宜しくと」
「わかった。伝えとくよ」
「かしこまりました。行ってらっしゃいませ」
私が向かおうと足を向けた時、オルトが言い忘れたと言って伝えてきた。
「忘れておりました! 途中で隣国から物資の支援が届くかもしれません。皇国領土内を通って運ぶことになると聞いております。途中で会う事がありましたら、そちらで支援を受け取ってください」
「うん。わかった」
出発する前に、私は城の方を見上げた。
きっと、
私は、
(じゃ、行ってくるね)
私は、ルナに声をかけると、目の前を立ちはだかってくる
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