第三章 決戦 (帝国クローン&傀儡(ぐぐつ)部隊の襲撃)
開戦
皇国の城内から、戦闘開始を知らせるラッパが鳴った。
夜が明け、周りは明るくなっていた。
もう、いつどこから、帝国がクローンと
城内などに転移されることはないと判断していた。
転移したい場所選定の精度は高くなく、狙った場所へピンポイントには決められないはずであろうと判断した。
今までの数例のケースでの判断だが、もう出たとこ勝負しかない。
フェイスは、既に近衛兵を率いて国境付近に向かっていた。
すでに、軍は国境付近に展開済みとのことだった。
フェイスは、ガルド達の進入路の確保も行わなければならなかった。
そして、決着が付きそうになったら、講和で早期に終結させることも考えて、判断権限のある自分が行くと言い最前線にむかった。
もしかしたら、帝国皇帝と直談判しに行くのかもしれない。
あいつが、帝国に戻って来ていればの話だが……。
「じゃ、
「ああ、リリィ。気を付けて」
私は、
「第三部隊、各員配置に付け」
親方様は静かに命令を下す。
「ハッ!」
第三部隊の各員は、定められた場所に、それぞれ散って行った。
親方様の部隊は、城の後方に移動していった。
私とルナを筆頭にしたメンバーズの面々は、城の正面に展開した。
「ねぇ。姉さま。城の襲撃に備えなきゃいけないって、私達ピンチなんじゃないの?」
ルナが、暇を持て余して話しかけてきた。
「どうしてそう思うの?」
「だって、領土内に敵が展開するって、普通は……」
「あなたねぇ。転移魔法を使って来るから、どうしてもこうなるのわかってる? だから、フェイスやガルドは大聖堂破壊の為に向かって行ったんだぞ」
「いやー。そうだけどさぁー」
ルナとそんな話をしているうちに、前の方から数十人規模で、仮面をつけた帝国クローンと
「あ、来た来た。人数少なくない?」
とルナ。
「ルナ。あれは、クローン部隊だな。
とオルト。
「全員、抜刀!」
私は、ルナとメンバーズのみんなに戦闘開始を告げた。
「姉さまは、どっち? 右? 左?」
「好きな方をどうぞ」
「どっちがクローン多いかなぁ?」
「遠目だし、歩いているだけだと区別付かないから、どっちでも良いじゃん」
「じゃ、私、左から!」
そう言うと同時に、ルナはクローン部隊の左側一気に移動し切り崩しを始めた。
「オルト、
そう言うと、私も右に移動し、
「リリィちゃーん。酷いなぁ。挨拶もなしに切ってくるなんて」
クローンのアルキナが、仮面を外して話しかけてきた。
「ちゃんと挨拶したろ! この剣で!」
思いっきり左の剣でアルキナの横っ腹を切りつけようとしたが、流石に防がれた。
まあ、クローンは切っちゃまずいから、これで良かったんだけど。
しかし、よろけさせたので、右の剣で横っ面をひっぱたこうとしたら、上から3人とびかかって来た。
(こいつらは、
体をひねりながら飛び上がり、その3体を切って
さっきのクローンは、体制を立て直して距離を取っていた。
「痛いなぁ。酷いなぁ。リリィちゃーん」
いちいち、
ルナを相手にしている方は無口なのに、私担当のクローンは良くしゃべる。
嫌がらせかな?
ほんと、こいつ嫌い!
周りを見ると、あちこちに
やはり、大群を一気に送り出すことは難しいらしい。
読み通りだ。
最初にクローン・アルキナを一人を混ぜた
私とルナが、半分以上駆逐しかかったている時に、門正面へクローン・
「オルト!」
私は、声をかけた。
「わかってますよ。姉様」
オルトはそう言うと、その集団の中にいるクローン・アルキナを倒そうと突進した。
だが、流石に一太刀目は交わされた。
直ぐに数体の
しかし、
あっという間に
メンバーズの面々も、一人、一人と、転移してきたクローン&
「ガッ!」
白目を向いて倒れるクローン・アルキナ。
私が剣の横っ腹で、思いっきり土手っ腹をひっぱたいたからだ。
「姉さま、手加減なし?」
ルナが言う。
「ちゃんと手加減してるぞ。死んでないぞ。多分な」
「多分なの?」
そんなことを言いながら、ルナが笑う。
「リリィちゃーん。
見つけた二人目と三人目のクローン・アルキナが言う。
しかも、声を揃えて。
「うるっさい。黙れ!」
両手の剣を左右上下と振り、二人のクローン・アルキナを追い詰めていく。
「グッ!」
じりじりと追い詰められる二人のクローン・アルキナ。
左右や前後に回りながら私を切ろうとしてくるが、二人程度なら二刀流の私は苦も無くかわせる。
しかし、間合いを詰めようとするとスッと逃げるので、少し厄介だ。
攻撃のパターンが同じになって来たと感じた時、一気に片方のクローン・アルキナに全力で切りかかって行った。
「グヘッ!」
剣の柄の部分で、みぞおちを思いっきり突いて、一人目を気絶させた。
剣で引っ叩こうと思ったけど、こいつら不快な事言ってきたので、みぞおちを思いっきり突いてやった。
「このっ!」
もう一人のクローン・アルキナが、同時に後ろから迫ってくるのがわかった。
私は剣を横にし、振り向きざまに頭を狙って叩き付けようと振りかぶった。
「グッ、ガッ!」
振り向いたときには、ルナも反対側から、クローン・アルキナの横っ面を引っ叩いていた。
崩れ落ちるように倒れるクローン・アルキナ。
「ちょっと姉さま。二人同時は、ちょっとやばいって。それに、私が後ろいるのわかってたでしょ? 何で、姉さままで」
ルナが、少しあきれながら言う。
「こいつの殺気は私に向っていた。だから倒したの。文句ある?」
「い、いえ、無いです」
そう言って、私はルナを黙らせた。
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