痛いほど分かる、その気持ち。

戦って戦って、だけど戦果は少なくて。
「才能はある」と信じたいけれど、時々心が折れそうになる。何がどう間違っているのかも分からない。経験不足が原因ならば、後どれくらいこの戦いを繰り返せば良いのだろう。光はまだ遠く見えず、枕を濡らして眠る日々。僕もう疲れちゃったよパトラッシュ……。
それでも私は書いてしまう。筆を置いたその瞬間から、またそれを手に取る瞬間がやって来ることを知っている。結局書くしかないのだ。それが好きで好きでしょうがないのだから。

戦え、戦え、戦え。恥を晒せ、屍も晒してやれ。
あの人に勝て、あの人に負けるな。

声高らかに自身を鼓舞する。でも、たまに、疑問に思う。
名作とは「戦え」の精神で書くものだったろうか?
目標とするあの人は戦っているようには見えなかった。一人の創造主として、天地創造をただ楽しんでいるようだった。あれは戦って戦って戦った、その先の姿なのだろうか?

創作者ならばきっと覚えのある感情。主人公の葛藤が身に染みる、珠玉の掌編です。